第17章 WC予選での波乱
藍「うん、さっき言えなかったけど、彼もIQ160を超える天才だよ」
『どうりで…やってくれるわね、花宮』
若松「どういう事だ!説明しろよ!」
『あのCはてっちゃんに対抗するために入れられたわけじゃありません。花宮とリンクしてパスコースを限定するサポート役です。彼だけがかろうじて花宮の読みについていけます。花宮は今吉さんの言う通り頭が良い、けど読めていても追いつけないパスっていうのは必ずあります』
今吉「つまり前半でのプレイは伏線でもあったっちゅー事や。ラフプレーで潰れればそれで良し、ダメでも頭に血が上れば攻撃は単調になり読みやすくなる。さすが悪童、エゲツないシナリオやん」
「エゲツないとかアンタがゆーか(小声)」
今吉「何か言ったか?青峰。けどアカンで誠凛。まるで蜘蛛の巣に捕まった獲物や」
『けど彼は予想できませんよ。ね、さつき」
「…!うん!」
さつきはあたしの言葉の意味を理解したのか、凄く良い笑顔で頷いてくれた。大ちゃんは相変わらずしかめっ面でコートの中を見ていたけど。そして第3Qが終了、だけど誠凛は最初のダンク以降点が取れていなかった。あと1Q残して11点のビハインド。てっちゃんはもうそこまで限界が来ている。あとは彼に頼るしかなかった。そしてその彼、テツ君が最終Qに出てきた。伊月先輩が日向先輩にパスを出すが予想通りそこにポイントを合わせ花宮はスティールを狙っていた。だけどテツ君によってパスコースは大我君に変えられた。大我君は慌てたように反応しレイアップを決める。
今吉「…信じられんわ。今の攻撃は今までと同じなようで全く別モンやで」
桜井「えっ?」
今吉「今までの黒子の中継パスはあくまでチームプレイ。相手からしたら予想外のトリックプレイのようでも、味方からすれば練習で作り上げた織り込み済みの攻撃パターンなんや。だが今のパスは攻撃パターンに織り込まれていなかった。味方にとっても知らされていなかったパスや」
兄「なるほど…考えたな、テツ」
凜子「え?どういう事なの?」