第17章 WC予選での波乱
大ちゃんがトイレから帰って来て数分後、第3Qが始まった。そして開始早々テツ君のバニシングドライブが決まり、大我君がフィニッシュ。そしてここでテツ君は引っ込み小金井先輩が出てきた。
桜井「あれ?交代ですか?」
若松「一時温存だろ、あいつフルタイムは使えねーらしいし。まぁけど後半開始早々カマしてたからな、勢いは完全に誠凛だろ」
『けれどあの花宮が何もしてこないとは思えません。あんな奴でも無冠の5将に数えられた人なんですから』
そして花宮はメンバーチェンジを要請し、5番が入ってきた。
優希「藍、あの人は?」
愛「2年C、瀬戸健太郎。特に目立ったプレーはしないけど…」
凜子「なら大丈夫じゃん!」
桜井「今花宮さんが指示出したような…霧崎の監督は随分信頼してるんですね」
今吉「ん?ああ、ちゃうちゃう。あのオッサンはただの顧問や。何があったか知らんが監督は去年辞めとる。ま、そーゆー意味では誠凛とも朱音ちゃんとも似とるな」
『…そうですね』
捺美「でも朱音は私達の事凄く大切にしてくれてるし、あの人みたいに酷いプレーなんか指示しないもん」
今吉「分かっとる分かっとる。スマン、言い方を間違えてしもたな」
『分かってます。捺美もありがとう』
5番の人はパワー型でもなければ、極端にテクニックがあるとも言えなかった。誠凛のカウンターになるが伊月先輩のパスが花宮によってスティールされ、そのままカウンター。それは次のOF時も同じで伊月先輩のボールがスティールされた。
桜井「なんかあの選手が出てきてから4番のスティールが増えましたね」
今吉「あいつは天才やからな」
桜井「え…?そりゃあ無冠の5将ならやっぱり」
今吉「ちゃう、そーやない。頭の話や、あいつめっちゃ賢いねん。中学一緒やけど勉強せんでも模試は常に上位やった。誠凛のスタイルはパスワークを基本としたチームバスケット。それも相当なハイレベルのな。ハイレベルは言い換えれば効率がいいっちゅー事や。全員が常にフロアバランスを見て最良の選択をする。花宮は相手の攻撃パターンを全部読み切ってボールを奪う。特に伊月、彼はホンマ良いPGや。イーグルアイによる冷静な状況判断と正確なパス。目立たないが誠凛を陰で支えとるのは彼や。けどその正確さが格好の餌食や」
『藍…あのCももしかして…』