• テキストサイズ

It’s a miracle!!!

第17章 WC予選での波乱


誠凛はTOを要請し、大我君は結局リコさんに殴られていた。そして何やらベンチでは揉めている様子。その内容が分かったのはTOが開けてからだった。

茉実「なっ!中は木吉先輩だけ!?」

愛「何で…中の方がラフプレー酷いのに!」

『てっちゃんは…てっちゃんはインサイドを自分だけにする事で誠凛の皆を守れるって考えてるんだよ…』

「朱音ちゃん!血が…」

さつきの心配する声が聞こえる。あたしは爪が自分の掌に食い込み血が出るまで強く握っていた。大我君が中に切り込まず外から撃つ。大我君は外からのシュート率はかなり悪い。それでも外から撃ったのはてっちゃんの指示だろう。大我君を、皆を守るため。てっちゃんはラフプレーにも負けず、外れたボールを押し込んだ。そして1人で攻守ともインサイドを支え続けた。すでに体にはたくさんの痣や擦り傷が存在している。しかしそんなてっちゃんの活躍により徐々にリードしていった。それが気に食わなかったのか、花宮さんは指を鳴らした。てっちゃんの言っていた事を思い出す。確か去年怪我をした時の指のスナップ音が聞こえたとか…あたしの考えを肯定するかのように足元を崩され倒れ込んだてっちゃんの顔面目掛け、ボールを持ったままの7番の腕が振り下ろされた。

『てっちゃん!』

兄「鉄平!」

審判によってレフェリータイムが通る。日向先輩が花宮に向かって何か叫んでいるけど、ざわざわとしたこの場所までは聞こえない。だけどその雑音がなくなった。そしててっちゃんがゆっくりと体を起き上がらせた。

木吉「もし1年(あいつら)の心が折れそうになったら、俺が添え木になってやる。もし2年(あいつら)が傷つけられそうになったら、俺が盾になってやる。どんな時でも体を張って誠凛(みんな)を守る、そのために俺は戻って来たんだ!」

『てっちゃん…大丈夫だよね、お兄ちゃん』

兄「…あぁ。鉄平は俺ら兄妹が認めた男だ。あいつなら…」

それから第2Qが終了するまで、てっちゃんのおかげで5点リードしたまま折り返せた。だけど執拗にラフプレーは続けられていた。てっちゃんの体は誰がどう見てもボロボロだった。そしてあたしの機嫌も最高潮に悪かった。花宮真、あたしはあの男を絶対に許さない。
/ 483ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp