第17章 WC予選での波乱
バスケに接触プレーは付き物。だけど本来ならあの場で相手の膝がてっちゃんの膝に入るはずがなかったのだ。だけどあくまで事故、悔しいけどそう思うしかなかったそうだ。
木吉「だから俺は誓ったんだ。誠凛(あいつら)は俺が護ると。それに俺は今が、あいつらとバスケをする今が物凄く好きなんだ。だから俺は大好きな奴らと大好きなバスケで掴める同じ夢を諦めたりするような真似はしたくないんだ」
兄「…今休めないと、本当に将来バスケは2度と出来なくなるぞ」
木吉「それでも、今の俺にあいつらとWC優勝という目標以外考えられませんから」
『てっちゃん…』
兄「…分かった。鉄平の覚悟、しっかりと受け取った。俺も協力するよ。毎日マッサージしてやるから朱音と一緒に帰って来い。帰りはもちろん家まで送ってやるよ」
木吉「でも智也さんにも仕事が!」
兄「そんなんどうとでもなる。男が、しかも俺の大事な弟分がここまでの覚悟見せてるんだ。動かないわけにはいかないだろう。それに鉄平が一緒に帰ってくれるなら、朱音も安心だしな」
『お兄ちゃん…』
お兄ちゃんはちゃんと知っている。恩着せがましいだけの理由じゃてっちゃんは動いてくれない事を。予想通りあたしの事を頼んだ時には、マッサージを受けることを納得してくれていた。そしてありがとうと一言。それからあたし達は1週間後に行われる霧崎第一戦まで、一緒に練習して一緒に帰った。てっちゃんの努力はあたしが1番近くで見ていたと思う。そしてそれを発揮するのは今日。あたしは制服に着替えると、お兄ちゃんと一緒に玄関を出た。そして無言のまま体育館へと向かう。あたしもお兄ちゃんも緊張しているのだ。女バスの皆と合流し、並んでアップの様子を見る。
兄「あれが鉄平の言っていた日向って奴か。鉄平ほどの男があれだけ褒めるモンだから、もっと大柄な男を想像してたんだがな」
『日向先輩は大きい男なんだよ。前に一緒に帰った時教えてくれたんだけどね、てっちゃが今でも忘れない、日向先輩から貰った言葉があるんだって。あと1年しか一緒に出来ねぇならしょうがねぇ、1番多く試合出来るのは日本一になったチームだ。日本一になるのが信じられないならしょうがねぇ、俺が信じてやるからついて来い。だからとっとと戻って来い、ダァホ。って』