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It’s a miracle!!!

第17章 WC予選での波乱


木吉「すまん朱音。後でゆっくり話す」

日向「…とにかくその話は後だ。まだ1週間あるしな。おら、とっとと帰るぞ。朱音、木吉の荷物持ってくれ」

日向先輩はてっちゃんを担ぎ控室を後にした。その時、奥の壁には確かに大我君の赤い髪が見えていた。翌日、あたしの家には部活終わりのてっちゃんが来ていた。幸い普通に部活が出来るまで回復していたてっちゃんの足を、お兄ちゃんに見てもらうためだった。

兄「鉄平、まーた無理してんな。いくら体が大きいからってまだ高校生なんだぞってあれほど言ったろ?」

木吉「すいませんってば、智也さん。それでどうなんですか?まだやれますよね?」

兄「詳しく検査したわけじゃねーからはっきりとは言えないけど、もって1年だな」

木吉「やっぱりそうですか。病院でも同じ事を言われました」

『だから今年が最後のチャンスかもしれないって言ったんだ』

木吉「黙ってて悪かったな。余計な心配かけたくなかったからよ」

兄「はーいそこ、お兄ちゃんの前でいちゃつくの禁止ー」

てっちゃんの大きな手によって頭を優しく撫でてもらっていたあたし達に、お兄ちゃんはいじけたように文句を言った。話が逸れてしまいそうだと思ったあたしは、なぜこんな怪我を負ったのかをてっちゃんに聞いた。あたしの予感が当たっているなら、あたしはあいつを絶対に許さない。てっちゃんはゆっくりと昔を思い出すように話してくれた。

それは去年のIH予選での出来事。創部1年目にして頼もしい仲間と信頼する監督に出会えたてっちゃんは、今までにないくらいバスケを楽しんでいた。そして今まで以上に練習に励んでいた。そして暫くした時、初めて膝に違和感を覚えた。中学の時にお世話になっていたお兄ちゃんに診てもらおうとしたけど、お兄ちゃんはその頃相田スポーツジムとは違うジムで働いていたため、それは不可能だった。ただの疲労だと思い放っておいて始まったIH予選。日向先輩と中外2枚看板で勝ち進んでいた誠凛。そして次勝てば決勝リーグ進出という時に、無冠の5将の1人である花宮のいる霧崎第一と対戦したのだった。だけど彼は試合には出て来なかった。出たのは最終Q残り1分。リバウンドを捕るために跳んだてっちゃんの身にそれは起きた。1つの指を鳴らすようなスナップ音と共に。
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