第17章 WC予選での波乱
茉実達の元に着いた時、大我君は真ちゃんのシュートを完全にブロックしていた。
『遅くなってごめん。どういう状況?』
藍「火神君が緑間君の3Pを2本連続ブロックしたの。火神君の跳躍力も確実に高くなってるし。もう火神君止まらないよ!」
『…2本連続?真ちゃんはどの状況で3Pを撃ったの?』
茉実「え?どの状況って言われてもいつもと同じとしか言えないよ」
『…そういう事か』
凜子「どうしたの?」
『真ちゃんはずっとこのスタイルで戦うつもりなんだよ。つまりは新しい技を見に付けたわけでもなければ、特別に何かをしたわけでもない。真ちゃんの超3Pシュートは撃てる本数が限られている。だからきっとその本数を増やすための体力アップに重点を置いてきてる。真ちゃんやろうとしてる事は大我君との根比べ…のはずなんだけど』
捺美「何か引っかかるの~?」
「あ、いたいた!朱音っちー!」
やけに明るい声に名前を呼ばれ振り向くと、そこには制服姿の涼君がいた。どうやら神奈川からわざわざこの試合を見に来たようだ。けどこの場に涼君が座れる席は1つも空いてない。それを知った涼君は子犬のような瞳であたしを見てきた。
『…はぁ、分かったよ。あたしは涼君と向こうで見るよ。試合が終わったらまた来るから』
「やったー!朱音っち大好きッスー!」
「「「「「黄瀬殺す」」」」」
茉実達の恐ろしい言葉に押されるようにして席を移動した。そしてあたしは疑問に思っていた事を涼君に聞いた。
『ねぇ涼君。今の真ちゃん、どう思う?』
「緑間っちッスか?うーん、上手く言えないんスけど、らすくないって言うか」
そう、真ちゃんらしくないプレイなのだ。ずっと一緒に戦ってきた涼君が言うのなら間違いないだろう。そしてそれはコートの中にいるテツ君も感じているはず。だけど試合はあたし達の考えを嘲笑うかのように流れていった。真ちゃんのシュートを大我君がブロック。第2Qに入ってもそれは変わらず、誠凛がリードを保っていた。けれどリードをしているはずの誠凛の顔色は優れていなかった。皆も感じていたのかもしれない、真ちゃんの異常に。そしてもう1つの懸念材料である、テツ君のマッチアップ相手である高尾君。