第17章 WC予選での波乱
翌日、つまり決勝リーグ1日目。西の王者である泉真館との試合は78対61という好成績だった。王者と言えども新勢力である誠凛の前ではもうその肩書は意味を成していなかった。あたしが気になったのは隣のコートでやっている真ちゃんの秀徳対霧崎第一の試合。試合に出ている霧崎のメンバーを藍に確認してもらうとやはり2軍のメンバーだった。そしてあたし達の横で誠凛対泉真館の試合を見ていたのは霧崎のジャージを着た1軍メンバー。その中にてっちゃんと同じく無冠の5将である花宮さんがいた。あたしは花宮さんのプレーは大嫌いだった。
悪童、花宮真。
秀徳の試合も終わり、次はいよいよ誠凛対秀徳の2度目の対決。トイレに席を立ち廊下を歩いていると誠凛の皆に会った。
『決勝リーグ、まずは1勝おめでとうございます。けれど浮かれている暇もありませんよ』
日向「あぁ。まず間違いなく次は相当厳しい戦いになる」
降旗「でも木吉先輩もいるし…こっちも前とは違うじゃないですか。前やった時も勝ったし」
『いくらてっちゃんが加入したって言っても相手はあの真ちゃん、そして王者秀徳だよ』
「朱音さんの言う通りです。勝ったからこそ次の試合は苦しい気がします」
リコ「黒子君は勘違いしてないみたいね。前勝てたのは出来すぎも良いとこ。実力はあくまで向こうが上よ」
日向「だけど向こうはそう思ってくれない。本来各上として待ち受けてくれるはずの相手が、逆に死に物狂いで挑んでくる。若槻の言う通り並の強敵ならまだしも、キセキの世代がだ。半端じゃねぇぞ」
『それでもあたしは皆さんならと信じています。頑張ってくださいね』
あたしは一礼をし、その場をあとにした振りをして物陰に隠れる。やっぱりてっちゃんは皆と離れ、ある場所へ向かった。花宮真の元に。あたしがいる場所はギリギリ2人の言葉が届く距離だった。