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It’s a miracle!!!

第17章 WC予選での波乱


執拗なダブルチームによって大我君のイライラは最高潮に達していた。そこにテツ君が自分のリストバンドを大我君の顔面目掛けて発射、そしてヒット。ギャーギャー騒いだ後にテツ君がこちらを見た。その瞬間大我君の表情が一変。その視線の先には確かに今吉さんと桜井君がいた。

『…なるほど、そういう事か。今吉さんに桜井君、今日はわざわざ見に来て下さってありがとうございました。おかげで大我君が冷静さを取り戻したようです』

今吉「どういう事や?」

『テツ君の事です。きっと今吉さんの口から大ちゃんに情報が伝わると考えたんでしょう。そしてそれを知った大我君は宣戦布告をすべく自分のプレーを取り戻せます』

今吉「…ほぉ。よく見とるんやな」

桜井「けど丞成も意地を見せてきますよ。ダブルチームは続行…火神君を何が何でも止めるつもりです」

『ううん、丞成に最初ほどの気力はもうない。大我君ならこれくらい簡単に抜いてみせるよ』

あたしの言葉通り大我君は綺麗に抜いてみせた。けど最後までまだ諦めていない鳴海君がブロックに飛んでいた。けれど今の大我君は止められない。レーンアップを行うべく踏み込んだその時、あたしは暫くの間閉ざされているはずの扉がこじ開けられた音を聞いた。それはまさに直観的なモノ。そしておそらくキセキの世代の皆も聞いたであろう音。

ダンクを決めた時に指が引っかかってしまった大我君はそのままひっくり返った。そして試合終了。結果は106対61という大差をつけて誠凛が勝った。

今吉「ほんなら俺らは帰るわ。ほんならな、朱音ちゃん。それと最後に忠告や。荒れるで、この先の決勝リーグは」

『…分かってます』

誠凛の皆さんに一言挨拶だけ済ませ、あたし達も帰宅した。扉が閉まる音も更に開かれる音も感じなかったところ、彼はまだスタートラインに立っただけ。この先が楽しみだと思うと同時に、彼も彼等と同じようになってしまうのではないかという不安があった。
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