第15章 summer vacation
そして翌日から部活が再開した。あたしの左腕にある征ちゃんカラーのブレスレットを見ると、何も話していないのに女バスメンバーは、なるほどね、赤司君だったのかと意味深な言葉を発した。その時にチラリと見えたテツ君の顔は少し切なそうだった。何かあったのかなと思ったけど、あたしが征ちゃんが好きだとばれてしまった事に気付き、テツ君の事は頭から消えてしまった。そして冷かしてくる茉実達に対して、久しぶりの練習だと言うのにメニューを5倍に増やしてやった。
隣で練習している男バスを見る。火神君の跳躍力が数段アップしている。火神君は利き腕の右手ワンハンドダンクが得意なせいか、右足で踏み切る事が多かった。だけどここ一番で高く飛んだ時は右足で踏み切っていた。つまり火神君の利き足は左足ではなく、右足。それにリコさんは気付いてた。だけど左で飛んでいた時でさえ火神君自身の負荷に耐え切れず負傷している。右ならなおさらだ。だけどそれが改善されたとしても問題はもう1つ残る。右足で踏み切るなら、自然とダンクの際にボールを持つ腕は左。けど今の火神君では左のハンドリングは使い物にならない。
それに気づいているのか、火神君は休憩時間にも左手でずっとボールを触っていた。その上火神君のやる気はもの凄かった。そして気になる点がもう1つ。パスのスペシャリストであるテツ君がドライブの練習をしていた。
『リコさん、夏休み中に何があったんですか?』
リコ「海で行った合宿で秀徳さんと一緒になったのよ。その時に緑間君と何かあったみたいでね。それとIHでの青峰君と黄瀬君の試合に影響されてね。けどまあ火神君にも黒子君にも良い刺激になったみたいで安心したわ」
『そうなんですか。WC予選楽しみにしてます』
あたしは激励の言葉を送り練習に戻った。そろそろ5時になる。心の中で征ちゃんに行ってらっしゃいと伝え、練習に集中し直した。そしてあっという間に夏休みは終わった。