第15章 summer vacation
目が覚めたのはそれから3時間後の夜7時だった。明日から練習が再開する上に、何も連絡を入れてないために家族が心配してしまう。征ちゃんに帰る事を告げると名残惜しそうに家まで送ってくれた。
「次会う時はWCか。朱音に会えない日々がまた続くのか」
『征ちゃん…そんな恥ずかしい事平然と言わないでよ』
「僕はいつでも正直に生きているだけだよ。それに朱音は寂しくないのか?」
『そりゃあたしも寂しいよ。けどあっという間だよ!それにコレもあるし』
あたしは左腕にあるブレスレットを征ちゃんに見せる。すると征ちゃんは道端にも関わらずあたしを抱きしめた。
『ちょ、征ちゃん!誰かに見られちゃうよ///』
「僕は構わないよ。それにそんな可愛い事を言う朱音が悪い。離れたくなくなるじゃないか」
征ちゃんはゆっくりと離れ、そんなわけにいかないのは知っていると言った。明日何時に京都に戻るのかと尋ねれば、夕方の5時と教えてくれた。けれど5時と言えばまだ練習時間、私情で抜け出すのはいくら何でも出来ない。それを伝えると征ちゃんは今日のデートで十分だと言ってくれた。デート。征ちゃんとデートしたんだ。それだけで顔が熱くなった。
「これで暫くお別れだ。また連絡するよ」
『送ってくれてありがとう。それじゃあまたね、征ちゃん』
家に帰ると心配そうな顔をしたお父さんとお兄ちゃん、ニヤニヤしてるお母さんがいた。皆でご飯を食べお風呂に入り、ベッドに横になる。征ちゃんからメールが来ていた。君は僕のモノだ、おやすみ。の文字。今日何度も赤くなった自分の頬が再び熱を持つのを感じながらもゆっくりとメールを返す。あたしも大好きだよ、おやすみ。と。自分の送ったメールに最高の恥じらいを覚え、誰もいないのに照れ隠しのように布団を頭から被った。