第15章 summer vacation
『この前行ったお店で見つけたんだ。その配色、なんだか征ちゃんみたいでしょ?征ちゃんにはたくさんお世話になったからそのお礼にって思って』
顔を真っ赤にさせた朱音は気を静めようとしたのか、お茶を一気に飲み干した。
『あのね、そのパワーストーンの意味を調べたの。赤いのがルビーで勝利と情熱の象徴なんだって。勝利は征ちゃんに良く似合うでしょ?で、その黄色っぽいのがイエローポールで幸福感に満ちたエネルギーを持つ石なんだって。征ちゃんには幸せになってほしいから。そしてその透明な石はレインボームーンストーンって言って…』
「奇跡的と思える出来事や出会いをもたらす石、だろう?」
『えっ?』
僕は自分の机の中から1つの箱を取り出し朱音に渡す。すぐに開けるように言うと朱音は丁寧に開封した。そして中に入った物を取り出すと、大きな目を更に大きく見開き驚いた。
「どうやら僕達の思考回路はどこまで行っても同じらしいな。それは僕が君に贈りたくて買っていた物だ。使われている石も全く同じなんだ」
朱音から貰ったブレスレットは、僕が朱音に贈ろうと思っていた物と全く同じだった。そして朱音に向き合う。
「好きだ、朱音。中学の頃から…いや、出会ったあの日から君に惹かれた。君以外僕には考えられない。僕と付き合ってほしい」
僕の言葉に朱音の眼から涙が溢れだす。
『何で…征ちゃんが…あたしを…』
「言っただろう。僕には君以外考えられない。むしろあれだけアピールして気付かない方が信じられないな。中学の頃は分からなくても仕方ないと思うが、高校に上がり離れてしまってからは自分でも凄い行動力だと自讃していたんだが」
『あたしは…あたしも征ちゃんが好き。征ちゃんの気持ちも凄く嬉しい。けど付き合うっていうのはよく分からないの』
朱音も僕が好き。それだけで最高の気分になった。そしてたまらずに朱音を抱きしめていた。
『だめだよ征ちゃん!あたしは!』
「よく分からないんだろう。けど確かに朱音は僕の事が好きと言った。それに嘘はないんだろう?」
『うん…』
「ならそれだけで僕は十分だ。朱音が分かるようになるまで僕は待つ。だがあまりにも遅くなるようなら強行突破でもさせてもらおうかな」