第15章 summer vacation
館内にはサメやマンボウ、クリオネに珊瑚などたくさんの海の生物がいた。ある程度見て回ったあたし達は、メインイベントであるイルカショーへと足を運んでいた。イルカたちは係員の指示に従い次々に演技を決めていく。あたしの興奮は最高潮だった。
係員「それでは最後にイルカと触れ合うコーナーです!写真も一緒に取れるので気軽に参加してくださいね~」
係員さんの言葉に小さい子供達が我こそはと元気よく手を挙げる。係員さんに誘導され、次々に前に出る。子供達に混じり、あたしの隣にいる征ちゃんがスッと手を挙げた。
係員「そこの赤い髪の方!どうぞ前へ!」
『え!?征ちゃんも!?イルカ好きなんだね~』
「僕は好きでも嫌いでもない。行くぞ、朱音」
征ちゃんはずっと繋いだままの手を引っ張り歩き出した。そして子供たちの後ろに並ぶ。そしてあっという間に順番が来た。
係員「最後のお客様は若い美男美女カップルです!それにしてもお似合いですね!凄く絵になります!」
『そんな!カップルなんかじゃ…』
「朱音、イルカが待ってるぞ。触ってみたらどうだ?」
『あ、うん』
今までイルカに触れた事の無いあたしは恐る恐る手を伸ばす。するとその手にイルカがすり寄ってきた。
『わ…可愛い!見て見て征ちゃん!イルカがあたしの手に!』
「そうだな、凄く可愛いよ。イルカも、朱音も」
『っ!///』
係員「きゃー!私でさえ照れてしまいそうな甘い甘い言葉です!さ、そのまま写真撮影に移りましょう!」
カメラマンさんの誘導のもと、イルカの横にあたし、その横に征ちゃんが手を繋いだまま並びシャッターを切る。言わずもがな、あたしの顔は真っ赤だっただろう。
係員「それでは最後にこのラブラブなカップルさんにもう1度盛大な拍手を!」
征ちゃんは満足そうにあたしを見てくる。あたしは真っ赤な顔のまま一言、バカ征ちゃんと呟いた。涼しい顔をしていた征ちゃんの顔が赤く紅潮していった。すぐに顔を逸らされたため、きちんと確認することは出来なかったけど。