第15章 summer vacation
「朱音っち!どうっすかコレ!カップルに見えるッスよね!」
『そうだね。なんか恥ずかしいな』
「俺は嬉しいッスよ!この写真ください!朱音っちの分も!」
あたしはお兄ちゃんとの写真と涼君との写真を2枚受け取った。そしてまだ仕事が残っているという涼君と別れ、あたし達はパスタ専門店へと足を運んだ。この店にはさっきの撮影を見ていたであろう人達があたし達を見て、本当にカップルみたいと口にしているのが聞こえた。そして注文したパスタが運ばれ、食べながら話す。
『そんなにカップルにしか見えないのかな?どこにでもいる兄妹なのに』
兄「朱音は兄の贔屓目無しにしても可愛いからな。俺も美形だし?そうなるんじゃね?」
『あたしは可愛くないよ。ってかお兄ちゃん自分で言って恥ずかしくないの?確かにカッコいいけどさ。そのカッコいいお兄ちゃんは彼女とか作らないの?』
兄「んー、彼女ねぇ。欲しいとは思うけど相手がなぁ。俺の理想は朱音みてーな女性だし、そんな奴にはなかなか会えねーよ」
『…あたしも自分のこと極度のブラコンだと思ってたけど、お兄ちゃんもあたしを超えるシスコンだよね』
兄「そりゃ俺はシスコンだぜ?けど、親父や母さんの事を考えるとそろそろ結婚しなきゃとは思うけどな。孫の顔はもちろん、ひ孫の顔も見せてやりたいし。つか朱音はどうなんだよ。彼氏とかつくんねーの?」
『彼氏、か。そんな事最近まで考えた事無かったからなぁ…それにしてもお兄ちゃんがそこまで考えてたなんて、ちょっとびっくり』
兄「俺はお前にびっくりだよ。最近までってことは最近考えたのか?もちろん俺はお前の恋愛について口出しはしねーけど、やっぱり寂しいな。あー!俺娘が欲しかったけど、この気持ちを体験しちまった以上、息子の方がいいかも…」
『何言ってんの。あたし達がそれぞれ結婚して別の家庭を持っても、あたし達が家族なのはずっと変わらないよ。あたしはお兄ちゃんの事、ずっと大好きだもん』
兄「そうだな。俺達、バカップルならぬバ家族だな」
大好きなお兄ちゃん。大好きな家族。この絆は一生切れることはない。パスタを完食し店を出た後に、互いの服を選んだりした。そしてお父さんたちが帰ってくるだろう時間になったため、家路についた。