第15章 summer vacation
月バスのインタビューは何回も答えたことはあるが、今回はファッション雑誌ともあり緊張していた。そしていつも通り会話をしてみてとしか言ってくれなかった。
『いつも通りって言われても…何話す?』
兄「そうだな…じゃあ小さい頃の話はどうだ?昔はいっつも朱音は俺にくっついてたし」
『なっ///お兄ちゃんだってあたしの事よく引きずり回してたじゃん!』
兄「俺は兄貴だし?まあお前が小学3年の時までずっと俺と結婚するって言ってた時は素直に嬉しかったけどな」
『あの時は本気だったんだよ?だってお兄ちゃんしか…///』
「ちょ、ストーップ!!何なんスかコレ!ただのいちゃつきカップルの会話じゃないッスか!」
記者「ちょっと黄瀬君~。いいとこだったのに止めないでよー。けど、いい写真とれたよー」
あたし達は撮れた写真を見せてもらった。涼君に言われた通りそこに映っているあたしとお兄ちゃんは、楽しそうに嬉しそうに恥らいながら会話をする、カップルみたいだった。
兄「おー、よく撮れてんじゃねーか。この写真俺達ももらえる?」
記者「あげるあげるー。それじゃあこの写真使ってもいいよね」
兄「いいっすよー。いいよな、朱音も」
『お兄ちゃんとこんな写真恥ずかしいけど…ま、いっか』
「俺も俺も!俺も朱音っちとこんな写真撮りたいッス!」
涼君のお願いに最初は乗り気じゃなかったカメラマンさんも、涼君がここまで言うならという事で手を打った。そしてあたしはさっきと同じように涼君と会話をする。
「ね、朱音っち!朱音っちは俺の事、どう思ってるんスか?」
『え?うーん…犬かな?』
「犬ッスか!?」
『うん!すり寄ってくるとことか犬そっくりだし、涼君が楽しそうにしてるとあたしも楽しくなるんだよ!少し大きいけどね』
「俺が犬なら飼い主は朱音っちッスね!犬が大好きなのは飼い主ッスから!」
『えっ///』
「飼い主も犬、大好きなんスよね?」
兄「はい、終了ー」
涼君の言葉にドキっとする。確かにあたしは涼君の事が大好きだ。けどそれはどういう大好きなんだろう。征ちゃんを大好きだと思う気持ちとは少し違う気がする。お兄ちゃんの言葉に涼君は文句を言うが、カメラマンさんからの写真を見せてもらうと、カップルに見えなくもない2人だった。