第15章 summer vacation
レジから戻るとお兄ちゃんに何を買ったのかと聞かれ、素直にプレゼントだよと答えた。お兄ちゃんはそれ以上追及しなかった。その後2人で街をぶらぶら歩いていると凄い人だかりが出来ていた。どうやら雑誌の撮影をしているらしい。興味が無いあたし達兄妹はその横を通り過ぎる。その時だった。
記者「ねぇそこのお2人さん。今ファッション雑誌の撮影をしてて、それと同時に街のベストカップルっていう特集の写真を集めてるんだよね。そこで2人の写真を撮らせてもらいたいんだけど、いいかな?」
兄「いいも何も、俺達兄妹なんですけど」
記者「えっ、兄妹!?そっかー…うん、けど大丈夫!カップルかと思えば美男美女の兄妹でしたってのも面白い。ね、どうかな?協力してくれたあそこにあるパスタ専門店の割引券あげるよ」
『どうするお兄ちゃん?ご飯まだだし、券貰って昼ご飯はあのお店にしようよ』
兄「朱音がいいなら俺もいいよ」
あたし達の返事に満足そうに頷いた記者さんは人混みの中に連れ込み、その中では誰かが撮影していた。見た事のある黄色い頭をした誰かが。
「あれ、朱音っち!?何でここに…ってかその男の人は誰なんスか!?どっかで見た事あるんだけど…」
『涼君!あ、涼君はモデルやってるって前言ってたもんね。この人はお兄ちゃんだよ。中2の文化祭で1度会ってると思うんだけど』
兄「あー、あの時のキセキの世代の奴らか!今時のキセキはモデルまでやってんのかー」
記者「あれ?黄瀬君の知り合い?実はこの2人に特集のモデルやってもらうことになってさー。あ、黄瀬君の撮影が終わるまでもう少し待っててね」
記者さんの言う通り、あたし達は涼君の撮影が終わるまで待機した。初めて見るモデルとしての涼君。次々とかっこいい表情を決めていく。周りにいる女の子達はキャーキャーと叫んでいるけど、あたしは涼君の今の表情は好きではなかった。
「終わったッス!どうだったッスか?俺の仕事ぶり!」
『かっこよかったよ。けどあたしは普段の涼君の方が好きだな。今の涼君の方が涼君らしくて素敵だよ』
「っ!///だ、だったら俺、朱音っちの前ではずっと素でいるッス!」
兄「はーい、兄ちゃんいるからね、ここに。ほら、行くぞ朱音」
「じゃあ俺も終わるまで待ってるッス!」
『うん!じゃあ行こうか、お兄ちゃん』