第15章 summer vacation
翌日。朝目が覚めてリビングに降りると、お兄ちゃんしかいなかった。今日はお父さんの仕事が休みのため、お母さんと2人で出掛けると言ってたのを思い出した。出掛ける前にお母さんが作ってくれた朝食を口に運びながらニュースを見る。今日も誰かが殺害されたり誰かが死んだりと、嫌なニュースが流れる。ご飯を食べ終え、1人でご馳走様と声に出した。そして新聞を読んでいるお兄ちゃんの隣に座る。
『今日は休みなの?』
兄「ああ。朱音は今日どこかに行くのか?」
『ううん、今のとこ予定ないよ』
兄「じゃあ久しぶりに2人で出掛けるか!昼飯奢ってやるよ」
『本当!?やったー!じゃあ着替えてくるから!』
部屋に戻り大至急準備をする。実はあたしは極度のブラコンだったりする。年は離れているが昔からよく一緒に遊んでいたし、お風呂も寝るのもずっと一緒だった。小学3年までは本気でお兄ちゃんと結婚しようと思っていた。さすがに昔のように全部一緒というわけにはいかないが、あたしは今でもお兄ちゃんが大好きだった。そして2人で歩いて出掛ける。
兄「そろそろピアス新調するか。もう2年経つしな」
あたしの右耳、お兄ちゃんの左耳には1個ずつピアスの穴が開いている。中学1年の頃、兄離れをする前に同じ兄妹の証が欲しいと懇願して、お揃いのピアスを着けるようにした。今つけているピアスは中2の頃に勝ってもらった物だった。以前購入した時と同じ店に入り、店内を2人でじっくり見て歩く。そして1つ目を引かれるものを見つけた。シルバーの縁にブラックストーンのピアス。手に取って見ているとお兄ちゃんが戻ってきた。
兄「お、かっこいいじゃんそれ。それにするか?」
『うん!お兄ちゃんが気に入ってくれたならこれがいい!』
そしてお兄ちゃんはそのままピアスをレジに持っていく。以前あたしもお金を払うと言ったが、それは働くようになってからでいいって言ってくれた。お兄ちゃんがレジに並んでいる間に店内を物色する。あるコーナーに行くと1つのブレスレットを見つけた。赤と黄色と透明のパワーストーンで構成されたブレスレットは、征ちゃんを思い出させた。この前のIHではたくさんお世話になった。何かお礼がしたいと思っていたあたしは、これを征ちゃんに贈ることにした。少々値段は張るが毎月貰うおこずかいをあまり使わなかったおかげで買うことが出来た。