第15章 summer vacation
~15.summer vacation~
IHも終わり、今は夏休み。部活に明け暮れ夏休みらしい事を1つもしていないあたし達は、1週間という夏休みを設けた。あっ君と約束をしていた事を思い出し連絡をすると、今日遊ぶ事になった。あっ君との待ち合わせ場所に指定した駅へ向かう。あっ君はもう来ていた。
『あっ君!』
「朱音ちん!その服可愛いね~。朱音ちんによく似合ってる」
『ありがとう、あっ君。あっ君も私服、カッコいいよ!』
「ありがと~。それじゃ、いこっか~」
どこに行くか聞いていないあたしは、あっ君に着いて行く。どこに行くか聞いても、あっ君は教えてくれない。街中に出るとさすがに人が多くなった。人ごみに紛れないように、あっ君の大きな姿を必死に追う。すると右手に温かみを感じた。
「…はぐれたら俺が困るし」
『あっ君…ありがとう///』
それからはあっ君のエスコートにより、とあるケーキ屋さんに入った。そこのケーキはとても美味しかった。それを伝えると、あっ君は嬉しそうに笑った。
「朱音ちんが喜んでくれて良かった~。あ、そうだ。俺寄らなきゃいけない所があったんだ~。めんどくさいど…朱音ちん、着いて来てくれる?紹介したい人もいるし」
『?うん、いいよ!』
あっ君に着いて行くと、ストバスの大会をやっている会場に着いた。お目当ての人を見つけたのか、あっ君は盛大に溜息をついた。そしてストバスの決勝戦が行われているコートに割って入った。審判の人が投げたボールの上にお菓子を置く。それによって試合は中断した。
「ごめ~ん、ちょおっと待ってくんない~?」
?「遅いぞ、敦」
「悪い悪い。迷っちゃって」
「…お久しぶりです、紫原君」
その試合にはテツ君、火神君に降旗君、福田君、そしててっちゃんがいた。そしてさっきあっ君と話した男の人は誰だろう。あたしはあっ君が入って行ったコートには入れずにいた。人が多すぎて前に進めない。そう思っているとあっ君の大きな手があたしの手を掴み、その人垣から引っ張り出してくれた。