第14章 高校バスケの頂点
綾「確かに私は朱音の親友だった。けどその朱音が私から何もかも奪ったじゃない!バスケも、黒子君も!」
『…テツ君?』
綾「そうよ!私は当時彼が好きだった!大好きなバスケの道を捨ててまで助けたのに、黒子君の眼には朱音しか映っていなかった!それでもバスケが出来るならって思った。黒子君も大好きだったバスケを。けれど私の足はなかなか治らなかった。その間に朱音はどんどん巧くなって有名になった。本当なら私だって同じ場所に立てていたのに」
『綾…』
綾「私の親は朱音が勝つ度に自慢したわ。私が朱音と同じクラブチームにいたんだって。その度に私は朱音と比べられた。どんなに活躍しても、朱音ならもっと巧く勝てるんじゃないかって。朱音に私の気持ちが分かる?分からないでしょうね。ずっと上に立ち続けてきた朱音には」
綾の言葉にあたしは何も言えなかった。大好きな綾がそんな事を思っていたなんて。ううん、あたしが思わせていたなんて。
綾「今回だってそう。初恋に続いて赤司君まで私から奪うじゃない。それに優勝だって。私最後に言ったわよね?皆、皆って言うけど、昔からそれが気に入らないのよ。いつも私の上に立った気でいるのがね!誠凛の人達だってそう思ってるに違いないわ!」
茉実「いい加減にしなさいよ!」
あたしと綾以外誰もいないと思っていたこの場所から、茉実の声が聞こえた。そしてある一角から茉実たち誠凛のメンバーと、征ちゃんが現れた。
『茉実…それに皆も…どうしてここに…』
優希「赤司君から教えてもらったの。片岡さんと何かあるって」
雅「だから話は全部聞かせてもらったよ」
藍「よくも私達の大切な仲間に酷い事言ってくれたわね」
綾「…によ…何よ!どうして私が悪者になるの!?朱音は私から全てを奪ったのよ!?」
捺美「朱音は何もしてない。黒子君を助けたのもあなたの意志、黒子君の気持ちも黒子君の意志だよ」
凜子「それに朱音は私達の大切な仲間。何も知らないあなたに私達の事を言われたくない」
茉実「それに昔から朱音と一緒にバスケしてたんなら分かるでしょ?朱音がどれだけ努力してきたかを」
皆の言葉に自然と涙が溢れていた。