第14章 高校バスケの頂点
記者「洛山は連続、誠凛は創部1年目にして初優勝という事ですが、お気持ちはいかかですか?まずは洛山の赤司君から」
「勝つ事は当たり前の事だ、何も思わない。と言いたい所だが、今回は女子の優勝が誠凛だから少し嬉しかったよ」
記者「おおっ!それはどういう事ですか!?」
「中学の頃から勝者だけが入れるこの場の隣には常に朱音がいた。それが僕にとっての幸福だから、今回もそうなれて良かったということだ」
『ちょ、征ちゃん!』
フラッシュの光が強くなる。どういう事ですか!?と記者の追及が止まらない。困ったように征ちゃんを見ると、征ちゃんは満更でもないように笑ってみせた。暫くして話が戻る。
記者「それにしても、赤司君が試合に出ていればもっと楽に勝てたのでは?」
「それでは面白くない」
征ちゃんの言葉に記者さん達の手が忙しなく動いた。そしてメモを取り終えたのか、次の質問はあたしに向けられた。
記者「それでは若槻さん、鈴城中ではなく誠凛高校として初めての優勝という事ですが、お気持ちはいかがですか?」
『そうですね。素直に嬉しいです。ここまで一緒に頑張ってきた仲間達にありがとうと伝えたいです』
記者「若槻さんは主将、PGに監督まで行っていると聞きましたが、やはり大変でしたか?」
『中学からずっとやってきた事なのでもう慣れました。けどやっぱり皆がいたから出来た事です』
記者「仲間の皆さんを大切に思われてるんですね。それでは次に…」
それから約10分インタビューは続いた。そしてあたしの心の中は喜びに加え、綾の事が支配していた。インタビューが終わり、征ちゃんと2人での写真を求められ2人で並んで立つ。カメラマンの後ろには今まで見た事のない顔で綾が睨んでいた。写真を撮り終えその場で解散。征ちゃんが戻った事を確認し、綾の元へ向かった。
綾「…何よ、自慢でもしに来たわけ?」
『違うよ!ただあたしは…』
綾「あたしは何?自慢じゃなければ同情?」
『それも違う!どうしたの綾…いつもの綾じゃないよ!』
綾「いつもの私って?朱音に私の何が分かるの!?」
『分かるよ!あたしは綾の親友で…』
綾「私は朱音の事、親友だなんて思ってない!」
あたしの中の何かが止まった。それほどまでにさっきの綾の言葉は胸に響いた。