第14章 高校バスケの頂点
茉実の言葉に皆が頷く。そして朱音、と名前を呼んでくれる。そうだ、何を忘れていたんだろう。あたしの夢はIHの舞台で皆で、茉実と藍と凜子と優希と捺美と雅と一緒に優勝することだ。気が付けば涙は溢れていた。そして綾との出来事について話した。
『けどもう本当に大丈夫。さっきの皆の言葉であたしの本当の夢を…勝つ意味を認識できたから。茉実、藍、凜子、優希、捺美、雅…そして征ちゃん。本当にごめんなさい。そして、本当にありがとう』
「僕は何もしていない。それに、こちらこそ酷いことを言ってしまったからな。今の朱音の方が朱音らしい。その気持ちを忘れなければ、君は…君たちが負けることはあり得ない。僕は信じているよ」
『征ちゃん…うん。それじゃあ行ってくるから、ちゃんと最後まで見ててね。皆、本当にごめん。ここから本当に本気出すから、もう少しだけ着いて来てほしい』
茉実「何言ってんの。私達は一生朱音に着いて行くよ」
『茉実…ありがとう。それじゃあ、行くよ!』
あたしたちはコートに向かった。そして綾に会う。綾の目の前まで行くと、綾はさっきまでと同じように睨んできた。けど今度はそれに動じない。
『綾。あたしは間違ってた。あたしは綾のためにここまでバスケをしてきたわけじゃ無い。ここにいる皆のため、そして夢のため。だから、もう負けるわけには行かないから』
綾「…やってみなさいよ。それにもうこんなに点差が開いた後じゃ、朱音にどうすることも出来ない。私の方が上手いんだから」
『…クスっ…へぇ?それは楽しみ』
綾「っ!」
そして第3Qが始まった。何度目となる綾との勝負。あたしがDF。今度は抜かれないように全神経を注ぐ。それに怯んだ綾の一瞬の隙をついてボールをチップした。そのままカウンターは茉実によって成功。綾は悔しそうに舌打ちをすると、ボールを構え直すが、あたしはそれを通さない。そしてOFも。止めに来ようとする綾にドリブルを行いアンクルブレイクを引き起こさせ、足元を崩す。そのままダンクシュート。今まで立翔を応援していた観客を、プレイによって味方に引き込んだ。