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It’s a miracle!!!

第14章 高校バスケの頂点


東京にはキセキの世代である大ちゃんと真ちゃん、そして6人目であるテツ君がいる。だけどブロックの関係により、どうしても全員が揃うことはない。

「そういう事だ。全員が出揃うことにより、更に面白みが増す。だから今ここで僕たちだけで戦う必要はないと思っただけだよ。大輝と涼太については仕方ない事だったと思うようにするよ。僕が止めてもあいつらには無駄だからね」

『大ちゃんは肘痛めたからね。それをさつきが黙っているとは思えないし。決勝も出ないか。征ちゃんも出ないんでしょ?』

「さすがは朱音だ。大輝の怪我について把握しているとは。だから僕は朱音の試合を存分に堪能させてもらうよ。特に決勝戦はね」

『ありがとう、征ちゃん。頑張るから』

「僕は君が負けるなんて思っていないよ。少したりともね。だけど願掛けだ。僕の力を全て朱音に預けよう」

征ちゃんはあたしを思いっきり抱きしめた。驚いて名前を叫ぶと、充電中だから静かにしてろ、と更に力を込められた。あたしは大人しく身を任せた。同時にあたしの心臓が驚くくらい早くなっているのが分かる。

「朱音でも緊張してるのか?」

『…そりゃそうだよ。男の人に抱きしめられるなんて、お兄ちゃん以外あり得なかったんだから』

「そうか、なら朱音にとって僕は初めて抱きしめた男になるのか」

征ちゃんは心なしか嬉しそうに言った。そして、僕も緊張しているよと言った。そんな事ないでしょう、と言うとムッとしたように続ける。

「僕は生まれて初めて女性を抱きしめたんだ。緊張しないわけがないだろう。君は僕の事を何だと思っているんだ」

『そうなんだ。征ちゃんは征ちゃんだよ。強引で俺様だけど、優しくて真っ直ぐな征ちゃん』

「そうか。実は僕は朱音に秘密にしていることがあるんだ。IHが終わったら2人で会おう。僕も少し東京に戻るからね、その時にでも。その時に伝えたいことがある」

『…分かった』

あたしがそう言うと、充電完了と悪戯っぽく微笑んで、征ちゃんの体が離れた。そしておやすみと言って帰って行った。1人になったあたしの思考はぐるぐると回っていた。あたしは征ちゃんのことが好きなのか、と。けど今はIH真っ最中。この考えには何回も蓋をしてきた。そして今回も。あたしは明日の対戦相手をイメージして、睡眠についた。
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