第14章 高校バスケの頂点
フリースローも決め点差は9点。第4Q丸々残してこの点差は、桐皇にとってあってないようなモノだった。そしてその動揺を更に強める大ちゃんのファンブル。ボールを拾った涼君が走り、桐皇の9番を抜く。
伊月「速さまで青峰と変わらないのか…!」
『いいえ、最高速度は大ちゃんのほうが早いです。大ちゃんの速さの源は緩急(チェンジオブペース)。緩急というのは最高速度と最低速度の差が大きいほど体感速度が上がります。涼君はその最低速度を下げることによって同じ速度差を再現してるんです』
涼君はそのままダンクを決めようとする。だけど同時に大ちゃんも走っていた。そして涼君のダンクをブロックした。大ちゃんの顔に怒りの色が見える。
捺美「青峰君、何か怒ってる?」
『多分ね。4ファウルは計算外だと思うから。大ちゃんにも、涼君にも。だけどその後のことが気に入らなかったんだと思うよ。気なんか使われるほどナメるな、ってね。涼君だって大ちゃんに退場してほしくなんかないって思ってるだろうし』
そのまま終了した第3Q。第4Qはこのまま行くと点の取り合いになる。2分間のインターバルは終わりを告げた。そして予想通り第4Qは涼君と大ちゃんによる戦い。実におよそ9分間。最初は興奮していた観客も、時間が経つにつれて静まり返っていった。そして均衡は崩れる。涼君の放ったボールはリングを周り、どうにか入った。体力の限界だった。キセキの世代のコピーといういつにも無く神経と体力を削っている上に、攻守の交代が早い。全力ダッシュを9分間続けていることになる。それは他の選手も同じだった。桐皇の9番がファンブル。残り1分をきった。
木吉「ここで勝負が決まる!残り1分、これを決めれば差は3P2本分、チームも一気に士気を取り戻せる。逆に落とせばタイムリミットだ」
雅「つまり、事実上の最後の一騎打ち…!」