第14章 高校バスケの頂点
前半より圧倒的に海常のプレッシャーが強い。圧倒された桐皇の9番の裏から笠松さんがバックチップ。ボールは海常に渡った。一瞬のうちに走り出した涼君に大ちゃんの反応が遅れた。ボールが涼君の手に渡り、今吉さんがDFに入る。そして涼君はボールを一旦体から離し、別の方向を見たまま今吉さんの目の前でボールを掴み、そのまま走り出す。抜かれると思った今吉さんはファウルしながらも止めた。
小金井「すっげぇ黄瀬!てゆーか完璧青峰みたいじゃん!」
リコ「…いえ、まだ不完全よ。その証拠に速攻とかで青峰君以外がマークに来た時しかやってない。きっと本人の中でまだイメージとズレがあるのよ」
木吉「つまり…黄瀬が青峰に再び1on1を仕掛けた時が。模倣完成した時だ」
『それでも予想を遥かに超える速さで涼君の模倣は完成に近づいています。完成するとしたらもうすぐ…』
言い終わったと同時に青峰君のボールを片手で投げただけのシュートが決まる。
「14点差…」
茉実「もし模倣が完成してもバスケに一発逆転はない」
日向「残り時間と点差が手遅れの状態になっちまえばそれまでだ。おそらくデッドラインは15点差…!」
海常はリバウンドを死守し、12点差に戻す。そして桐皇の9番にボールが渡り3Pラインに構える。決まれば15点差。ここは死守しなければ海常の勝つ可能性がガクッと下がる。それに応えてか、海常の5番が止めた。ボールは海常がとり涼君に渡る。
『来た…』
あたしの声は多分、誠凛の皆に届いたと思う。コートを見れば、涼君が大ちゃんと対峙していた。つまり…
「模倣が…完成したのか…」
火神君の呟きも遠くでしか聞こえなかった。ついに涼君が大ちゃんを抜いた。ムキになった大ちゃんはファウルする勢いで涼君を止めにかかる。だめだ、このままじゃ大ちゃんは…
「だめーーーーーー!」
さつきの声が響く。審判の笛が鳴り、バスカンが告げられる。涼君はその前にもシュートを決めていた。そして、4と書かれたカードが出される。
リコ「4つめ…」
日向「もう思い切ったプレイは出来ねーぞ!?」
優希「そうか、あの時の笠松さんのファウル!」
凜子「布石はもう既に打たれてたってわけね…」