第14章 高校バスケの頂点
~14.高校バスケの頂点~
IH。高校の頂点を決める大きな大会。各都道府県で決められた数だけしか出場することは出来ない。体育館には男女100を超えるチーム数の人数が収められる。そんな中行われた優勝旗返還。そこに征ちゃんの姿があった。隣の女子の高校は聞いたことのある強豪校だ。中学時代、あの場所に立つ征ちゃんの隣にはあたしがいたのに…ズキンと痛む胸。花帆に言われた好きという単語が脳内を埋める。だめ、今はIHのために来てるんだから…
開会式が終わり、会場は慌ただしく試合が出来るように整備される。この体育館には大体育館と小体育館の2つの体育館がある。大体育館にはコートは4つ、小体育館でも3つ取れるぐらいの大きい体育館だった。女子は小体のほうで行われるが、2回戦から始まるあたしたちは、近くの体育館を借りていたためそちらへ移動する準備を始めた。
綾「朱音!」
『?…綾!』
不意に呼ばれた声の主は、ジャージに身を包んだ綾だった。
『そのジャージ、京都の名門の…』
綾「そ!立翔(りっしょう)高校よ!それに、中学は間に合わなかったけど、高校でなら朱音と戦えるんだから!」
『本当に!?良かった、楽しみにしてる!絶対負けないんだから!』
綾「私こそ!…てか、朱音の高校どこ?せい…りん?どこの高校なの?」
「東京にある新設校さ。それ以上のことは、僕は知らないけど」
綾の質問は、あたしの声じゃなく、別の人によって答えられた。この声は知っている。
『征ちゃん…』
「やぁ、直接会って話すのは久しぶりだね、朱音」
綾「ちょっと、直接会ってってどういうこと?」
「…君には関係ないが、隠す必要もないから教えてやろう。僕たちは電話をしたんだよ。ただそれだけだ」
綾「…朱音、ちょっと話があるから一緒に来て」
「悪いが僕も朱音に話がある。君は僕の後だ」
征ちゃんと綾の間に悪い空気が流れる。これじゃ征ちゃんのことが好きな綾が可愛そうだ。けれど花帆の言葉を思い出す。あたしは…
『…2人とも、ごめん。もう車待たせてるから行かなきゃ。話しはまた時間がある時に聞くね。ほら、皆行くよ!』
いいの?と聞く茉実。あたしは大丈夫だからと伝えるとその場を逃げるように後にした。