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It’s a miracle!!!

第13章 それぞれの思い


そして夏休み直前の最後の土曜日。練習試合に出掛けてしまった男バスは、もちろん隣のコートにはいない。帰り道に届いたリコさんからのメールによれば、てっちゃんの提案で1年生のみで試合を行ったらしい。結果は火神君の独壇場となり勝ったとのこと。

『…なるほどね』

茉実「え、朱音この内容で何が分かるの!?」

『てっちゃんが1年生だけで試合をさせた理由だよ』

凜子「え!?木吉先輩何か考えてたの!?いつもの思いつきかと思ってた…」

優希「まぁ、そう思われることしかしてないよね、先輩は」

捺美「で、結局なんだったの~?」

雅「火神君に思い知らしめるため、とか?最近一人で雑なプレーしてたし」

『火神君はテツ君がいなくても戦えるまでに成長したいだけだと思うよ。今まで助けられてばかりだったからさ。今回のことは、テツ君の限界を知らせる為だよ』

藍「黒子君の限界…?」

『そ。前てっちゃんと少し話したんだ。その時にテツ君の限界はテツ君自身が決めちゃってるって。テツ君のパスはチームを救ってきたように見えるけど、結局それはテツ君じゃない誰かが得点を決めてる。キツイ言い方だけど、人任せになっちゃうんだよ。今のままじゃ、テツ君は周りが強くなるのを待ってることしか出来ない。だからそれを知らせるために実力が足りない1年を試合に出させた。それにテツ君が気付くのを狙って。ま、てっちゃんの考えてることはよく分からないから、あたしの憶測でしかないんだけどね』

てっちゃんは創るつもりだ。テツ君の新しいバスケを。そのためには一度、今のプレイスタイルを捨てなければならない。あくまで方向性は同じだとしても間に合うか、冬までに。ふとコートからボールをつくような音がした。火神君だ。一瞬迷ったが、あたしは火神君の元へ行くことにした。今回の手助けはこれが最後と決めて。茉実たちに断りを入れ、火神君の元へ行く。

「…若槻か。何か用か?」

『特には。ちょっと見てていい?』

火神君は好きにしろ、とだけ言うと練習に集中した。今の火神君の練習は、1人でやっているように見えて、ちゃんと相手を想像している。それに味方も。
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