第13章 それぞれの思い
花帆は持っていたホッチキスを机に打ち付けた。針が刺さったのか、花帆の指からは血が出ていた。
『花帆!血が!』
花帆「そんなのどうでもいい!それよりその答えは本当に正しいの!?朱音はそれでいいの!?」
『…もしあたしが征ちゃんのことを好きだとしても、征ちゃんはきっと喜ばないよ。それに、征ちゃんと同じくらい綾も大切だから。そんな2人が幸せになるなら、それは親友として嬉しいことだよ』
あたしが笑うと花帆は泣き出した。いきなり泣いてしまった花帆に対して、あたしがオロオロしてると花帆は声を出す。
花帆「それじゃ、その征ちゃんって子の気持ちはどうなるの?本当に綾ちゃんのこと好きなの?それで幸せになるってどうして分かるの?どうして朱音自身が傷付く可能性を考えないの!?どうして朱音はいつも相手のことばかり考えるの!?」
『花帆…』
花帆「いつもそう…今回だって火神君や黒子君のことばかり考えて、自分のことは後回しにするし。本当はもっと初めから私に聞きたかったんでしょ?」
『どうして…』
花帆「分かるよ…だって私、朱音の事大好きだもん。そんな朱音が元気ない事くらい、分かっちゃうよ。朱音は優しい。けどその優しさが正しくない時だってあるんだよ。今回だって、私すっごく心配したんだから」
『花帆…ごめんね』
あたしは花帆を抱きしめる。花帆もあたしに抱き着いて来てくれた。
花帆「朱音はその人のことを好きでいていいんだよ!綾ちゃんに遠慮なんかしなくてもいいんだよ!綾ちゃんだって本当は征ちゃんをかけて朱音と勝負がしたいのかも知れない。まずは、自分の気持ちに向き合ってみようよ」
『…分かった。ちゃんと考えてみるよ。けど今は、皆とIH優勝することが目標だからさ。その後でもいいかな?』
花帆「…本当はダメって言いたいけど、これが私の大好きな朱音だから仕方ないか。さ、さっさと終わらせよう!部活に行かなきゃなんでしょ!」
それからあたしたちは雑談をしながらもハイスピードで作業をこなした。花帆があたしの友達で…ううん、親友で良かった。そう伝えると、私も朱音の親友で良かったと笑顔で言ってくれた。30分後には作業は終了し、花帆に見送られ体育館に急いだ。