第12章 IH予選開始!緑と青と…
あれから帰って、ご飯を食べお風呂に入り、今はベッドの上で横になっている。そして忘れていたことを思い出したあたしは、急いで携帯を手にしてある人物に電話をかけた。
―「やぁ、朱音。こんばんわ」
『こんばんわ、征ちゃん。あのね、IH行けるよ!』
―「おめでとう。それはもちろん、1位でということだろうね?」
『うん!』
―「さすがは朱音だ。それに、ようやくこれで君に会えるということか」
ドキっ…征ちゃんの何気ない一言に胸がドキドキする。あたしに会えることを楽しみにしてくれてるの?
―「朱音?」
『あ、ごめん!何でも無い!今年の開催は〇〇県だから、お互い遠征になるね』
―「そうだな。朱音が手配するのか?」
『あー、多分そうなるかな。また今年も監督やってるし』
―「そうか。ならばこちらも僕が決めよう。そうすれば同じホテルになる可能性が数段上がる」
まただ。征ちゃんの言葉にあたしの心臓が早く動く。この気持ちは何だろう。それを知ろうとする度に綾の顔が頭の中を支配する。
―「…朱音は嬉しくないのか?僕と一緒のホテルに泊まることが」
『そんなんじゃないよ!…ごめん征ちゃん。あたし今日試合で疲れちゃったみたい。もう寝るね』
―「…そうか。長々とすまなかった。それじゃあ朱音。IHでまた会おう。おやすみ」
『おやすみ、征ちゃん』
あたしは征ちゃんからの電話を切ると、そのまま眠りについた。この気持ちは明日、花帆にでも聞こうと思いながら。