第12章 IH予選開始!緑と青と…
宣言したように、あたしは白河さんを振り切った。そして藤ヶ谷さんが立ちふさがる。あたしは大ちゃんがやって見せたようにゴールの裏からシュートを決める。あたしが柊のDFを突破したのと、つい先日見せられた大ちゃんと同じシュートを打ったことに驚いていた。それはもちろん、白河さんも。白河さんが大声を出したことにより、会場は静かになった。
白河「何で!?何でなの!あなたがキセキの世代と同じ技を使うなんて…!認めない、認めないわ!」
『…認めないも何も、大ちゃんの…青峰大輝のやった技はほとんどあたしのだよ』
そう、あの合宿でもあたしは姿勢を寝かして打っていた。もちろん他にも。さすがに片手で放るのは無理だけど、それ以外はあたしが見せたことのある技だった。ふと、ギャラリーにいる大ちゃんと目が合った。その大ちゃんが、あたしに向かって拳を突き出していた。フッと笑うと、あたしも宙に向かって拳を上げる。傍から見ればガッツポーズをしているようにしか見えないだろう。
それからは圧倒的だった。第3Qが終わるまでには2点差まで追い上げ、第4Qはあたしの重心移動を習得した凜子たちのおかげで逆転に成功した。終わってみれば95対68という大差で勝利を飾った。と同時に、最高の条件でIHへの出場権を獲得した。
試合が終わり上に行くと、大ちゃんとさつき、真ちゃんと涼君の姿があった。
「さすがッスね、朱音っち!けどまさかあの桜蘭の子がいるとは思わなかったッスわ。俺あの子苦手ッス」
「私も苦手…しかも強くなってたし!」
「だがあの性格では上には行けないのだよ。少し強くなったぐらいであの過信…あれでは負けて当然なのだよ」
「やっぱ朱音は強ぇな。今度勝負しようぜ!ま、俺が勝つけどな」
皆前みたく楽しそうにバスケについて語っていた。特に大ちゃん。良かった、あたしはまだ大ちゃんの良きライバルでいれてる。暫く話し、キセキの皆とは別れてベンチへ行く。そこには男バスの皆さんがいた。
日向「おめでとう。一時はどうなるかと思ったが、さすが全国1位は違うな」
リコ「IH、私たちの分まで暴れてきてね!」
「おめでとうございます。朱音さんたちなら勝てるって信じてました」
『ありがとうございます。テツ君も、ありがとう』
祝福してくれた誠凛の中に、火神君の姿は無かった。