第12章 IH予選開始!緑と青と…
第3Qが始まって早々、白河さんがマークに着いた。
白河「涼しい顔して出てきちゃって…今更足掻いても無駄なんだから」
『…無駄かどうかは、貴方がきめることじゃない』
ふと浮かんだテツ君と大ちゃんの顔を振り払い、集中する。相変わらず茉実へのマークは変わらない。そのおかげで空いているはずの優希も、全国でも有名な、藤ヶ谷さんが近くにいて迂闊にパスを出せないでいた。もうすぐ5秒経つ。あたしはドリブルで切り込んだ。すると1度抜いたはずの白河さんがいつの間にか真横に移動していて、ボールを弾いた。そのままボールはコートを出る。
茉実「そんな、朱音まで…」
『…面白い技、使うのね』
白河「あなたを止められるなんて…気分が良いわ」
あたしは藍にTOを取るように訴えた。そしてベンチへ戻る。
『あれは多分、テニスで使うスプリットステップを応用したものだよ』
藍「スプリットステップって…たしか片足で着地することによって早く移動出来るっていう…けどあれは自身が飛んでいるうちじゃなきゃ使えないはずじゃ…」
『だから応用したものだよ。きっと相手は抜いた瞬間かその前にコースを読み、重心を片足だけに移動させ同じ現象を引き起こしてる。茉実たちが言ってた違和感はこれ』
茉実「さすが朱音!で、どうすればいいの?」
『抜く前かその瞬間に自分の重心を反対に持って行って切り替える。それがバレたら更に逆へ…って言っても言葉では難しいのがある。とにかくあたしがやって見せるから、皆はあたしがボール持ったらヘルプに入らなくていいから、とにかく動きをみて覚えて!』
「「「「「はい!」」」」」
コートに戻ると、優越感に浸った白河さんがあたしを見てきた。
白河「何か作戦でも立ったわけ?ま、そんなわけないわよね。だってあなたには無理だもの」
『…クスッ、言ったでしょ?バスケに無駄なんかないって』