第12章 IH予選開始!緑と青と…
凜子「うわー、知り合いいっぱいいるんだけど…」
優希「秀徳の緑間君に高尾君、海常の黄瀬君に笠松さん…桐皇なんて青峰君とさつきちゃん以外にも全員来てるし」
茉実「誠凛も全員いるよ…」
捺美「皆暇なのかな~」
雅「女子の試合なのにね」
藍「ほら、ごちゃごちゃ言ってないでアップしなさい!」
『全く…緊張してるんだかしてないんだか』
今日行われる試合はあたしたち誠凛対柊(ひいらぎ)高校との試合だけだった。それなのにこの人数は凄い。カメラもいっぱい来てるし。あたしたちがコートに入ると、歓声はより一層大きくなった。
藍「もう私たちが元鈴城中メンバーってバレてるみたいね」
『そうだね…でもそれは過去だもの。これからは、あたしたちが誠凛高校女子バスケ部!ってことを証明しなきゃ』
暫くコートの中でアップを済ませていると、柊のボールが転がって来て、あたしの足元で止まった。そのボールを拾い、追ってきた相手に渡す。
白河「…久しぶりね、若槻さん」
『…1年ぶりかな、白河さん』
そう、今日の対戦相手柊高校には中学時代から何回か戦った元桜蘭中エース、白河さんがいたのだった。
白河「相変わらずその態度は変わらないのね。どうせ今日もスタメンじゃないんでしょ?」
『…敵チームに戦略は教えられないよ』
白河「…まあいいわ。いつまでもあの時の私だと思わないことね。それに、私のチームも」
それだけ告げると白河さんはチームに戻って行った。柊高校、東京から毎年IHに出ている強豪校だ。予選も誠凛と同じく2勝。つまり、今日勝った方が優勝するのだ。
時間は流れ、ティップオフを告げる笛が鳴る。あたしはベンチで様子を見る。確かに強い。OFの要である茉実に執拗にダブルチームがつく。おかげで誠凛は得点が伸びないでいた。反対に柊は得意の高さを活かした高速パス回しによって得点を重ねてくる。特に白河さんの勢いが止まらなかった。第2Qが終わる頃には15点差をつけられ、負けていた。
『…皆、動きが硬いよ。どうしたの?』
凜子「うー…一生懸命やってるけど、何て言うか…やりにくいんだよね」
藍「やりにくい?」
茉実「動きが変っていうか…正邦みたいに古武術を使ってはいないと思うけど、それくらい特殊な動きで」
『…分かった。第3Qからはあたしも出るよ。雅、交代ね』