第12章 IH予選開始!緑と青と…
整列も終わり、藍たちの様子を確認すると同時に今日の結果を伝える為に、男バスから少し離れていたあたしは、桐皇の控室の前で聞こえた話を意識してしまった。
部員「秀徳倒したからどんなもんかと思えば。特に黒子とか終盤全然クソだし、最後までムキになっててサブっとか思ったし。とっとと諦めりゃいいのに」
この言葉に苛立ちを覚えたあたしは、乗り込もうとドアノブに触れた。だけど中から凄い音が聞こえて離してしまった。
「試合も出てねーのにピーピーうるせーよ。耳障りだから少し黙れ」
紛れもなく大ちゃんの声だった。大ちゃんは最後にああ言っていたけど、相棒だったテツ君を悪く言われるのは純粋にムカついたんだろう。あたしはそれだけで嬉しかった。まだ繋がっていると思えただけで。それからあたしは誠凛の控室まで走って戻った。
『戻りました…』
リコ「朱音ちゃん…今日はありがとう。いろいろ助けられたわ。特に火神君の怪我については」
『いえ、あたしは何もしてないですから』
リコ「…とにかく反省はアト!とっとと帰るわよ!火神君はちゃんと病院行かなきゃだめよ!」
「ウス…ほら行くぞ、黒子」
先輩達は先に行ってしまい、控室にはあたしとテツ君、火神君の3人が残る。
「…なぁ。これが限界かもな。正直もっとやれると思ってた。けど結果このザマだ。圧倒的な力の前では力を合わせるだけじゃ…勝てねーんじゃねーのか?」
『ちょ、火神君!』
あたしは火神君に追いつき呼び止める。だけど火神君の眼には、さっきの言葉の裏を意味するような強い光が映っていた。テツ君に先に行っててくださいと言われ、あたしは火神君と一緒に控室を後にした。火神君とも、それ以上何も話さなかった。
翌日、翌々日と行われた男子の決勝リーグでは、勝つことが出来なかったらしい。男バスは、IHの出場権を獲得することが出来なかったのだ。女バスのあたしたちは勝った。勝率的にもう出場権は手に入れたが、今日行われる試合にも負けるわけにはいかなかった。