第12章 IH予選開始！緑と青と…

『大ちゃん…』

「よう、朱音。久しぶりだな。ってかお前マネージャーになったのか？もうバスケはしねーのか」

『今日だけ臨時のマネージャーだよ。もちろんバスケはしてる。この誠凛で』

「…そうか。お前は俺のただ一人のライバルだからな。…やめんなよ」

大ちゃんは嬉しそうに、そして悲しそうにあたしに言った。桐皇の人たちに出るように促され、大ちゃんは次に時計が止まった時に出てくる。点差は10点ビハインド。

リコ「最悪のタイミングで来てくれたわね…」

「…ようテツ、久しぶりだな。どんな顔するかと思えば…いーじゃん、やる気満々って面だな」

「はい。桃井さんと約束しましたから」

「ははっ、言いたい事は大体分かるけどな。朱音がここにいる理由も。それはプレイで示すことだろ…まぁどっちにしろ勝ってから言えよ」

大ちゃんは一瞬あたしを見ると、すぐに試合に意識を向けた。桐皇ボールで再開したコートでは、アイソレーション、つまりOFの戦法の一つを行っていた。特定のプレーヤーがスペースを使いやすいように残りの選手が片側によるものだ。

『使い道はいろいろありますが、この場合は見たままです。両チームエースの1on1のため』

リコ「火神君…」

レッグスルーからのクロスオーバー。それだけで火神君を抜いてみせた。ヘルプに入った日向先輩をロールで交わし、ダンクを狙う。が、そのロールの一瞬で火神君も追いついていた。即効を狙う誠凛だったが、桐皇も戻りが早く囲まれた。伊月先輩がテツ君にパスをし、それをテツ君が火神君へキセキの世代しか取れなかった加速する（イグナイト）パスを送った。そのままダンクを狙う火神君に大ちゃんが追いつき阻止。そして第2Qは終了した。

「いいじゃねーか、オイ！10点差つけられてどんだけ酷いかと思えば…なかなかマシじゃねーの！」

大ちゃんは久しぶりの興味をそそられるバスケに楽しそうに笑った。けれど、あの時の笑顔とは違う。