第12章 IH予選開始!緑と青と…
あたしがいることに驚いていたさつきだったけど、口パクで負けないよとだけ言うと、緩やかに笑って見せた。
リコ「形だけマネージャーだから何もしなくていいわ。その代り、気になったことを伝えてちょうだい」
『分かりました。遠慮なく言わせてもらいます。それにしても大ちゃんは…』
あたしが気付いたのと同時に、火神君が桐皇の人に大ちゃんの所在を聞いていた。どうやら寝坊による遅刻らしい。桐皇と言えば、ここから20分くらいあれば着く距離だ。
『リコさん、大ちゃん…いえ、青峰君の力は凄いです。いない間に出来るだけ点を取りましょう』
リコ「そうね、それが得策だわ」
伊月「火神、もう1度青峰とは顔を合わせてるんだって?まさかモチベーション下がったとかないだろうな?」
「むしろぶちキレてるよ。…です。前座だってんなら挽回出来ないまで突き放して、世界一間抜けな主役にしてやらァ」
「僕も賛成です。青峰君は危険です。いないなら今のうちにつけられるだけ点差を付けた方がいい。そもそもいない人相手にムキになっても意味ありません。目の前の相手が全てです」
『…どうやら皆分かってるみたいですね』
あたしの言葉にリコさんは優しく微笑んでくれた。けれどテツ君の表情が硬い。それもそのはず、相手はあの大ちゃんがいるチームなんだから。あたしの不安をよそに、試合は開始された。4番の人は知っている。PGの今吉さんだ。その今吉さんによってボールは9番に渡る。3Pラインで止まったかと思うと、物凄い速さでボールを放った。モーションはめちゃくちゃ、そして何故かスイマセンの一言。それでも特攻隊としては十分だった。それから誠凛も追いすがるが点差は徐々に開いていく。そして気付いてしまったあたしはギリッと歯を食いしばる。
降旗「…すげぇ!全部100点ゲーム!?」
リコ「そ。つまり正邦とは真逆のチーム、超攻撃型よ」
『それに個人技だけを重んずるチーム…あたしの大嫌いなチームです』
リコ「朱音ちゃん…大丈夫、アイツらは負けないわ。だって誠凛は同じ攻撃型でも、全員一丸の攻撃なんだから」
リコさんの言葉に力強く頷く。そして今吉さんのロングパスによって6番が走る。カウンターを決められると思いきや、そこにはテツ君が走っていてカットしようと飛んだ。
「「「でも低ーい!」」」