第12章 IH予選開始!緑と青と…
さつきは自分がテツ君に惚れた理由を話し始めた。てか、さつきはテツ君のことが好きだったんだ。さつきの話によれば、帝光時代の帰り道、当たりの棒アイスのゴミをくれたらしい。楽しそうに話す大ちゃんたちを見て、自分もその輪に入りたいと思っていた時のプレゼントだったため、即効でハートを射抜かれたとか。
それから練習を再開し、時間になったためプール練は終了した。あたしはテツ君と一緒にベンチに座っているさつきの元へ行く。
『さつき。さつきは大ちゃんと一緒の学校にいるの?』
「…うん。テツ君と一緒の学校に行きたかったのは本当だよ?…けど、あいつほっとくと何しでかすか分かんないからさ」
すっかり変わってしまった大ちゃんを思い浮かべる。そして疑問と不安が襲った。
『さつき…大ちゃんに火神君のこと話した?』
「え?そりゃもちろん。テツ君の新しい光だし、ミドリンにも勝ったし…」
『じゃあその火神君の行きそうな場所は!?』
「聞かれたから教えたけど…どうしたの朱音ちゃん、そんなに慌てて」
『…まずいことになった!さつき、その場所はどこ!?お兄ちゃん、車出す準備しといて!藍は皆を連れて体育館に戻ってて!』
「どうしたんですか、朱音さん」
理由は後で話すとだけ伝え、急いで着替えさつきから聞いた場所へとお兄ちゃんに車で送ってもらった。思っていたより離れていなかったけど、その場所に着いたときにはもう2人の姿は無かった。お兄ちゃんに協力してもらい、周りを探す。すると学校の近くで足を少し引きずる火神君を見つけた。
『火神君!』
「若槻!?…と誰だ?」
『あたしの兄。そんなことより…火神君、青峰大輝とバスケした?』
「!なんでそれを…」
『やっぱり。お兄ちゃん、見てあげて』
火神君を車の中に入れ、お兄ちゃんが診察をする。
兄「…こりゃ相当痛めてるな。病院行くか」
「そんなん大丈夫だ!…です。監督にはバスケやるなって言われてるし、バレたら殺されるス」
兄「あのなぁ、リコちゃんに怒られるのと決勝リーグ間に合わないのとどっちがいいんだよ」
『…火神君はそういう人だから。ごめん、お兄ちゃん。とりあえず普通に歩けるくらいにしてくれる?』
あたしの言葉にお兄ちゃんは仕方なく分かったと言って、口では説教をしながらも、優しくマッサージもしてくれた。