第12章 IH予選開始!緑と青と…
真ちゃんと別れたあたしたちは、リコ先輩に指定された店へと足を運んでいた。そしてOKONOMMIの暖簾をくぐる。
『お邪魔します』
リコ「朱音ちゃん!それに皆も!今日は応援ありがとね!今日は私達の奢りだから、じゃんじゃん食べてね!特に朱音ちゃんにはバ火神が世話になったようだから!」
『いえ、あたしは何も…って涼君!?それに笠松さんまで…!』
「朱音っちー!こんなとこでまた会えるなんて嬉しいッス!さ、こっちの席空いてるんで!」
茉実「馬鹿黄瀬君!朱音をそんな猛獣だらけのとこに行かせるわけないでしょ!」
笠松「猛獣!?」
『んー、でもあたしたちは7人だから、どっちにしても座れないよ。誰か1人は別の所じゃないと…』
高尾「おっちゃん2人空いて…ん?」
入口が開いたと思ったら、ついさっき別れたはずの真ちゃんと、秀徳の10番の人がいた。どうやらあたしと真ちゃんが話している間に先輩達と逸れてしまったようだ。店を変えると言ったが、この台風にも近いほどの強風と豪雨の中、移動するのは困難だろう。
高尾「あれっ?海常の笠松さんに…鈴城中の朱音ちゃん!?」
「『何で知ってん(の)(だ)?』」
高尾「月バス見たんで!全国でも屈指の好PGとして有名じゃないッスか!朱音ちゃんなんか写真よりずっと可愛いし!俺ファンなんだよね!ちょ、うぉぉ!同じポジションとして2人に話聞きてーな!ちょっと混ざっていっすか!?」
笠松「え…?正直今祝勝会的なムードだったんだけど…」
高尾「気にしない気にしない!さ、笠松さん、朱音ちゃん!こっちで!」
あたしと笠松さんが高尾君に呼ばれて席を移動する。よって真ちゃんの座る場所は必然的に笠松さんのいた席、つまり涼君とテツ君と火神君と同席することになる。正直狙ってたよね、高尾君。そんな思いも気にもせず、次々に質問をしてくる高尾君。あたしは適当に答えながらも、テツ君たちの話に耳を傾けていた。
「…まぁ、黒子っち達とやってから、朱音っちと話してから…前より練習するようになったッスかね。あと最近思うのが、海常の皆とバスケするのがちょっと楽しいッス」
涼君の言葉に、あたしと笠松さんは顔を見合わせて少し笑う。…すぐに笠松さんには眼を逸らされてしまったけど。