第12章 IH予選開始!緑と青と…
藍「そうか…緑間君にまだ火神君は飛べるかもって思わせることが目的」
笠松「なるほど。緑間は無理なシュートは打たない。止められる危険性があると思わせれば、シュート本数が減らせるってわけか」
茉実「けどそれもばれたら終わり…あとは黒子君にかかってるってことか」
テツ君は第4Qの頭から出ていた。この試合勝つためにはテツ君の力は必要不可欠。だけどテツ君には天敵と言っていいほどの相手、10番がマークに着く。
優希「でも黒子君は10番がいる限りミスディレクションは通用しないんじゃ…」
『全くじゃないよ。ホークアイはコート全体が見えるほど視野が広い。だから意識を他に逸らしてもテツ君を常に視界に捉え続ける。だからテツ君は意識を自分から逸らす前に、逆の誘導を入れた。つまり、自分へ引き付けるようにしたの』
笠松「そうか!前半パスカットされてからも出続けたのは、より自分を印象づける為…」
茉実「けど10番も反応してる!火神君の位置から逆算してるんだ!」
『大丈夫。いくらパスコースが分かっても、10番には止められないパスがある。ね、涼君?』
あたしの言葉に思いついたのか、涼君の眼が煌めいた。そしてテツ君はあたしたちの思う通り、ボールを掌で殴り加速させた。そのボールは誰にも触れられることのないまま火神君の手に渡る。そして火神君はそのままダンクへ。真ちゃんが反応していたけど、最後の力を振り絞るように、火神君は飛んだ。ボールはリングを通った。
「あいつ、やりやがった…緑間っちをぶっ飛ばして…それに今のパスは中学時代キセキの世代しか捕れなかったパス…!って、そうじゃなくて!ガス欠寸前で大丈夫なんスか、あいつは!」
笠松「まあ今のは無理してダンクいく場面でもなかったって見方もあるな。けど全く必要ないかって言えばそれも違うんだよ。点数は同じでもやはりバスケの花形プレーだ。それで緑間をぶっ飛ばした。今のダンクはチームに活力を引き出す、点数より遥かに価値のあるファインプレーだ」
凜子「てか帝城祭の時、緊張した私たちに向けて朱音もダンクしたじゃん。あれと同じなんだよ」
「え!?あれってそういう意味があったんスか!?ただの派手好きって思ってたッス!」
捺美「朱音はそんな馬鹿な理由のためにやんないよ~」
残り時間は2分。誠凛はついに1ゴール差まで追いつめていた。