第12章 IH予選開始！緑と青と…

「バスケは１人でやるものじゃないでしょう」

「皆で仲良く頑張りゃ負けてもいいのかよ！？勝たなきゃ何の意味もねぇよ！」

「１人で勝っても意味なんかないだろ。キセキの世代を倒すって言ったのに、彼らと同じ考えでどうすんだ。今のお互いを信頼出来ない状態で、仮に秀徳を倒せたとしても、きっと誰も嬉しくないです」

『テツ君…』

あたしは肩の力が抜けていくのを感じた。そして今度は火神君がテツ君を殴る。

「甘っちょろい事言ってんなよ！そんなん勝てなきゃただの綺麗事だろーが！」

「…じゃあ勝利って何ですか。試合終了した時、どんなに相手より多く点を取っていても、嬉しくなければそれは勝利じゃない」

小金井「別に負けたいわけじゃないって！ただ１人で気張る事はねーってだけだよ」

日向「つか、何か異論あるか？」

「そんなんねえ…いや、悪かった。勝った時嬉しい方がいいに決まってるわ」

誠凛にはさっきまでの嫌悪感は無くなり、いつもの雰囲気に戻った。あたしはコートの中にいるテツ君を見る。そして自然と口元が緩んでいた。

「朱音っち。朱音っちは俺たちの…帝光のバスケが嫌いだったんスか？」

『…以前インタビューでも言ったけど…嫌いだよ。皆がやっていたバスケはバスケじゃない。けどそれは皆が望んだ事だから、あたしは何も言わないよ。それでも、テツ君にはもう悲しい思いはさせたくないの』

テツ君はチームという概念が消えてしまった帝光のバスケのせいで、大好きだったバスケが嫌いになった。もうそんな思いは２度としてほしくない。あたしがさせない。

雅「でも火神君の頭が冷えたのはいいとして、もう火神君は飛べないでしょ？大丈夫なの？」

『おそらく火神君が飛べる回数はあと数回…それはリコ先輩がちゃんと把握してると思うけど、その１回は使うとしたら第4Qの頭の真ちゃんのシュートを防ぐため、かな』

予想通り、火神君は真ちゃんのシュートを止めた。けどあの足の状態ではあと１回が限界か…