第12章 IH予選開始!緑と青と…
大坪さんには無理だと思った10番はパスを真ちゃんへと戻す。これはさっきよりも距離が短いため、タメも少ない。
優希「確かに距離があれば力も使うけど、たったそれだけで火神君は緑間君を止められるの?」
「片鱗はあったッスよ。俺とやった時の最後のアリウープ。キセキの世代と渡り合える力。そしてバスケにおいて最も大きな武器の1つ。あいつの秘められた才能…それはつまり、天賦の跳躍力!」
『…真ちゃんの3Pにはもう1つ弱点がある』
笠松「そうか!より遠くから打てるということは、逆にもしブロックされたら自陣のゴールはすぐそこ…」
凜子「凄いじゃん、火神君!これなら勝てるかも!」
『…いや、このままじゃまずいと思う』
「「「「「…え?」」」」」
あたしの心配をよそに、火神君は止まらなかった。だけど、それに比例して不安が大きくなっていく。火神君のおかげてついに1ケタ差になったところで、それは起きた。
茉実「!?火神君の反応がおかしい!」
藍「まさか…もう飛べないの!?」
「ガス欠!?」
笠松「多分な。おそらくアイツはまだ常時あの高さで飛べるほど体が出来てねぇ…それを乱発して孤軍奮闘してたからな」
『それに、いくら途中交代したとしてもこの試合は2試合目。特に津川君のマークで体力削られていたからね』
凜子「今響いてどーすんのよ、火神ぃぃぃ!」
捺美「それに、ガス欠が近いのは火神君だけじゃないみたい」
それから火神君は強引に強行突破した。これは早すぎる。真ちゃんにブロックされ、そのままカウンターされてしまった。
『火神…』
茉実「げっ…落ち着いて朱音!お願いだから!」
「?どうしたんスか、神守っち?って…何で怒ってるんスか、朱音っちぃ!?」
藍「あー…朱音は今の火神君のプレイ、嫌いだからね」
笠松「火神のって…自己中なプレイのことか?」
優希「んー、まあそんな感じです。特にキセキの世代のプレイに似ている火神君ですから」
「朱音っち…」
第3Qが終了して盛り上がっている会場が、一気に静まり返った。テツ君が火神君を殴ったのだ。静かになった会場なら、コートの中にいるテツ君たちの会話も聞こえた。