第12章 IH予選開始!緑と青と…
『…なるほど。こんな真ちゃん封じがあったなんて』
「緑間っち封じ?」
『うん。テツ君の回転式超長距離パスによって』
笠松「緑間のシュートはその長い滞空時間中にDFに戻り、速攻を防ぐメリットもある。だが全員戻る訳じゃねー。万一外した時のために残りはリバウンドに備えている。その滞空時間が仇になるんだ」
凜子「?なんで?」
『…つまりね、真ちゃんが戻れるって事は火神君が走れる時間でもあるの。戻った真ちゃんの更に後ろまで貫通する超速攻がカウンターでくる。だから真ちゃんは打てないの』
笠松「にしてもそのパスを見せるタイミングと判断力、一発で成功させる度胸…再認識したぜ。あいつ、ああ見えてお前と帝光中にいただけはある。百戦錬磨だ」
それでもまだ不穏物質はある。4番のパワー、そして10番のあの動き…まさか…そしてあたしの仮説を肯定するかのようにテツ君のマークには10番がついた。そして思った通りテツ君のパスは見事にカットされる。
『やっぱり…あの10番も持ってるんだ。イーグルアイを』
笠松「…いや、多分それ以上のモノだ。確か、ホークアイ」
捺美「確かに鷲より鷹の方が強いよね~」
雅「いや、そういう問題でもないと思うけど…」
すかさずTOを取る誠凛。テツ君を封じられた誠凛には、分が悪すぎる。
「そう言えば、この間練習試合に緑間っちが来たって言ったッスよね。その時言ってたんス。緑間っちは黒子っちのことを認めている。だから嫌いなのだよって。何でも自分の認めた男が無名校で、しかも皆で協力すれば勝てるって考えが気に入らないらしいッス。ま、緑間っちの言うことも分かるッスけどね」
『…真ちゃんはそういう人だよ。だからこそ、次からは本気でくる』
TOの終了を告げる笛がなる。テツ君はベンチではなくコートの中にいた。
凜子「黒子君、何か策でもあるのかな?」
藍「うーん、どうだろ。でもきっと大丈夫だよ」
黒子君なら、と続ける藍に微笑む。だけどその安直な考えはすぐに崩されてしまった。真ちゃんの手によって。