第3章 接触
『こら、藍。何てこと言うの。謝りなさい』
藍「でも!」
『藍』
有無を言わさない彼女の強い言葉に聞き入った。まるで僕にまで届くような芯のある声。
藍「…ごめんなさい」
『あたしからもすみませんでした』
彼女は何の躊躇いも無しに立花と一緒に頭を下げた。一瞬なぜ?と思ったがその答えは小学生でも分かる。彼女は優しいのだ。強さと優しさをもった彼女。彼女が見ている世界はどんな世界なのだろうか。僕のこの金色と赤色から見える世界とは、どう違うのか。
「構わないよ。僕としては久しぶりに向けられた好戦的な眼であり、懐かしさを感じたからね」
すると彼女は眼をぱちくりとさせた後、はにかむ様に笑った。
『…赤司君って面白い方なんですね』
彼女の笑顔を見た瞬間、走ってもいないのに心拍数が上がった。
「君に言われたら光栄だ。それから僕たちは同級生だ。敬語はよしてくれ」
『…クスッ…やっぱり面白い』
相手に笑われたのも久しぶりだったが、懐かしさを感じる前に僕の心拍数の上昇が頭の中まで支配した。
それから心拍数が上がったまま彼女と少しいろいろな話をした。帝光中の生徒会はもちろん、鈴城中の生徒会も僕の意志を汲み取ったのか誰も口を挟んでこなかった。…これなかったと言った方が正しいだろうが。10分という1Q丸々という時間だったのにも関わらず、本来の時間よりも何倍も速く時が流れたように感じた。