第12章 IH予選開始!緑と青と…
男子バスケ部か苦戦すると思われていた初戦相手、新協学園に79対67という好スコアで勝利したのをエンジン源とし、次々に駒を進めていった。リコさんに聞くところによると、びっくりするぐらい順調だそうだ。それはもちろん、あたしたち女バスも同じだった。参加校が男子よりも少ない女子は、1日早く予選リーグの決勝が行われていた。同じAブロックに強豪校はいなくて、あたしたちは妥当だとも言わんばかりに決勝リーグの進出枠を手に入れた。そして今日は男子の予選リーグの準決勝、決勝と連続で行われる日。
茉実「それにしても、1日でどっちも行うってどんだけハードなんだか」
優希「それに比べ女子はゆとりあったよね」
藍「参加校がかなり違うからね。それより、今日誠凛の皆大丈夫かな?」
雅「北と東の王者と2連戦なんでしょ?しかも秀徳には緑間君がいるし…」
藍「北の王者、正邦もやっかいだからなぁ…」
捺美「特殊なチームだって聞いたことあるよ~」
「あれ?朱音っち!?」
深刻な雰囲気になりそうな時、頭上から明るい声が聞こえた。涼君だった。あたしと目が合うと、ぶんぶんと大きく手を振る。その時に犬の尻尾と耳が見えたのは気のせいじゃないだろう。けど可愛い…隣にいる笠松さんに軽く会釈をすると、顔を真っ赤にしながら会釈を返してくれた。そして涼君はあたしたちの後ろに座った。
「朱音っちたちも見に来てたんスか!」
茉実「それはこっちのセリフだよ。私たちは同じ学校だからもちろん応援しなきゃだし。ていうかわざわざ神奈川代表が東京代表を決める試合を見に来るとはね」
「それはもちろん黒子っちたちと緑間っちの試合が見たかったからッスよ!それに、ライバルの試合は何回見ても損は無いッスからね、先輩!」
笠松「ていうか…もう始まってんじゃねーか。お前がちんたら飲み物とか買ってるから始まってんだろが!」
そう。もう試合は始まっていた。スコアは0対12。誠凛は負けていた。正邦の10番、津川君によって火神君の動きは封じられていた。