第12章 IH予選開始!緑と青と…
『じゃあ火神君、やろうか』
「あぁ!…って何でお前らまでいるんだよ!ってか全員!?」
火神君の言葉に周りを見ると、全員があたしたちの周りを囲んでいた。
生徒「俺たちにも教えてよ!バスケ好きだし」
生徒「そうそう!バスケってカッコいいし、私たちも出来たらすごいじゃん?それに聞いてるだけで十分だからさ!」
凜子「まあまあ!興味を持ってくれた人がバスケ部に入ってくれるかもしれないし、何よりバスケを好きになってもらえるなんて、嬉しい限りじゃない?」
『…凜子がまともなこと言ってる』
凜子「私の扱い酷くない!?」
凜子のツッコミを置いといて、それでも確かに興味をもってくれたことは嬉しかった。体育館の隅で丸くなっている体育のっ先生は見なかったことにしよう。
『分かった。とにかくあたしが火神君に教えるから。あとは凜子よろしく』
早速DFの練習に取り掛かった。自分より高い相手をどう止めるか。
『とりあえず火神君、さっきのOFの時、どう思った?』
「なんつーか…すっげぇやりにくかった。自分のプレイができねーっつーか…」
『そう。大事なのはそのことなの。相手に相手の好き勝手にさせないようにする。今回はゴール下を任されてるわけじゃ無いみたいだから、とにかく相手の嫌がることをするの』
「どうやって…」
『…ちょっとは自分で考えなさい。あたしは背が低いけど、原理は同じだからね』
火神君とあたしはひたすら練習した。体育でかく汗の量ではないけど、気にはしなかった。周りの生徒たちも、あたしたちを見様見真似で練習していた。そして数分後
「そうか…分かったぜ!」
火神君は言った通り、あたしのプレイをさせなかった。
『正解。やれば出来るじゃん。つまりやりたいことをさせない、行きたい所へ行かせない、そうやって相手の苦手な態勢に追い込むの。今度の相手は背が高いんでしょ?プレッシャーをかけて楽にシュートを打たせないこと。そうすればもし届かなくても、そう簡単に決められないから』
「…うす!」
火神君は満足そうに頷き、闘志を燃やしていた。クラスの皆のあたしたちを見る眼が少し変わったのは、何かくすぐったかった。