第11章 海常高校のモデル
~11.海常高校のモデル~
今日は久しぶりに外周コースへ出た。暑すぎず寒すぎず、湿気も調度いい。走り終わってクールダウンも行いながら体育館へ向かっていると。違和感があたしたちを襲った。
『…茉実、今日何かあったっけ?』
茉実「だから、朱音が知らないことを私がしるはずも無いでしょう。凜子、何か知ってる?こういう楽しそうな祭事の情報には敏感でしょ」
凜子「私を何だと思ってるの!?」
捺美「ただのバカ」
優希「あははは!捺美、それ傑作!ね、雅!」
雅「あ、凜子すねちゃった…」
藍「それにしても本当に何だろうね。皆色紙とか持ってるし」
『アイドルでも来てるのかな?それにしても女の子ばっかり…』
あたしたちとは入れ違いのように、頬を赤く染めた女の子が次々と出てきた。そして体育館に入る。中学校から行ってきた、お願いしますという挨拶も含めて。あたしたちが入るころには女の子の集団はもう体育館から姿を消していた。代わりに誠凛とは違う制服を身に纏った黄色い頭の高身長の生徒がいた。…黄色い頭?
「あれ!?朱音っち!?何でここに…」
『涼君こそ…あたしはここの生徒だから』
「朱音っちが行ったのって誠凛なんスか!?しかも鈴城中レギュラー全員いるじゃないッスか!」
茉実「うわ、黄瀬君じゃん…」
「俺の何が悪いんスか、神守っち!ひどいッス!…っと!?」
涼君目掛けて飛んできたボールを、涼君は片手で止める。それでも痛かったのか、涼君の眼は涙目だった。ボールが飛んできた方を見ると、殺気を纏った火神君がいた。
「せっかくの再会中ワリーな。けどせっかく来て挨拶だけもねーだろ。ちょっと相手してくれよ、イケメン君」
「「火神(君)!?」」
「え~そんな急に言われても…あーでも君さっき…よしやろっか!良いモン見せてくれたお礼」
『涼君!』
「だーいじょうぶッスよ、朱音っち。何も本気出すわけじゃ無いッスから」
「…マズイかもしれません」
涼君はあたしの言葉も聞かず、颯爽とコートに入った。まずい、せめてリコさんに止めてもらわなきゃと思いそちらを見れば、同じ思いだったテツ君もリコさんに伝えていた。涼君の怖さを。