第10章 入学式、そして始動…!
あれから数日が経ち、無事にあたしたち女子バスケットボール部も活動を始めた。男バスの方々にコートを半面譲ってもらった。もともと体育館で活動している部活はバスケット部しかなく、基礎練等は共有して全面でやっていたりする。もちろんとてもキツイ。リコさん特別メニューを一緒に行わせてもらっているから、なおさらキツイ。けどリコさんのメニューはきちんと考えられていて、凄いの一言に限る。部員数が少なく体力アップを目標としているあたしたちには、もってこいの練習だった。そしてこの土日も、全員がリコさんに覆いこんでもらった。
『あー、全身が痛い…』
花帆「朱音大丈夫?そんなに練習大変なの?」
『まあね…ていうかそれよりテツ君と火神君は?』
今日は月曜日。あと数分後にはこの校庭で全校朝礼が行われる。けど二人の姿が見えない。まさか休むとは思えないし、リコさんが昨日、明日楽しみだな~なんて言ってたから、多分何かあると思うんだけど…
「1-B、5番!火神大我!キセキの世代を倒して日本一になる!」
いきなり屋上から聞こえた声に周りがざわざわする。先生たちはまたバスケ部か!と言いながら校舎の中に走って行った。
宗助「何だ…って今火神って言った!?あの火神!?何やってんだよアイツ!」
花帆「あははは!火神君うけるー!」
近くにいた花帆と石黒君は笑っている。あたしは二人とは違う笑い方をした。口角を上げ、ニヤリと笑った。
『…面白いよ、火神君。やってくれんじゃん。これは覚悟しとかなきゃね?』
あたしの言葉は誰に届くでもなく、空に消えていった。そしてこの空の下にいる、キセキの世代の皆に届くようにと願いを込めて。
そしてその放課後、練習が終わったあたしはこの前と同じようにマジバの窓際に座るテツ君と火神君を見つけた。そして同じように茉実たちに先に帰ってもらうように告げると、今回は何も頼まずに二人の元に向かった。
『や、一緒にマジバ、それも2回目なんて仲がいいんだね、二人とも』
「仲良くねーよ!ったく…まあいいや。黒子、お前に聞きたいことがあった。若槻も昔のコイツを知ってるんなら、一緒に聞いてくれ」
あたしとテツ君は顔を見合わせると、黙って頷いた。