第10章 入学式、そして始動…!
あたしたちはゲームが終わると同時に体育館のフロアに降りた。拍手をしながら。それに気付いた男バスの皆さんが、あたしたちを見て驚いている。
「朱音さん」
「若槻!」
リコ「何?あんたたち知り合いなの?」
「クラスメイトだ。…です」
凜子「だ…です?火神君って噂通りの馬鹿だったんだ…」
凜子の言葉に火神君の血管が浮き上がった。なるほど、馬鹿で短気なんだ。けど凜子も人のこと言えないからね。
『申し遅れました、明日から女子バスケットボール部として活動させていただきます。主将の若槻朱音です。えっとそちらの主将さんは…』
日向「あ、俺ッス…2年の日向順平だ。えっと火神とクラスメイトっつーことは…1年!?しかも確か若槻朱音って新入生代表!?」
『あ、一応…』
あたしが苦笑すると男バスからはどよめきが走った。あたしは藍たちに自己紹介をするように言った。藍、茉実、凜子、優希、捺美、雅の順で名前とポジションを伝えていった。藍には鈴城時代と同じく、副主将を任せていた。全てを伝え終わると、男バスの皆さんも同じように自己紹介をしてくれた。最後まで終わると言いにくそうにちょっと釣り目の先輩…たしか伊月先輩が切り出した。
伊月「あー…違ってたらごめんな。若槻さんってもしかして、鈴城の若槻朱音さん?」
『後輩なんで、さん付しなくていいですよ。あと、先輩のおっしゃる通りです。あたしたち全員鈴城中出身ですよ』
そこまで伝えると、あたしたちが現れた時以上のどよめきが走った。鈴城!?あの鈴城!?なんて声も聞こえる。その中でテツ君と火神君は動じていなかった。その火神君から、鈴城?という疑問が投げられる。
日向「あぁ、火神はアメリカにいたから知らねえか。キセキの世代は知ってるよな」
「まぁ、話だけなら。…です」
伊月「そのキセキの世代と同じ年代の女子バスケットボール界に衝撃を与えたのが、この子たちの鈴城中。今まで目立った形跡は無かったけど、若槻たちが入ってから卒業まで、異例の全中3連覇をこなしたんだ。そのチームの主将で監督で司令塔が若槻だ」