第10章 入学式、そして始動…!
掃除も終わり、体育館へ向かうとちょうど1年対2年のミニゲームを行っていた。あたしたちはギャラリーからその様子を観戦することにした。得点は2年が上だった。得点源と思われる火神君にはトリプルチームが付いていた。
茉実「あれ?黒子君いるんでしょ?そんなに点差つかないって思ってたのにな」
茉実たちにはテツ君がこの学校にいることは伝えていた。そしてテツ君がバスケ部に入っていることを今日火神君に聞いたあたしは、そのことも伝えていた。
凜子「火神君って人、そんなに強くないんじゃない?」
優希「いや、彼は強いと思うよ。だけど黒子君との連携が取れてないみたい」
優希の言葉通り、テツ君得意のパスは見られなかった。そして1年チームに不協和音が鳴った。
「もういいって…なんだそれオイ!」
いくら中学で頑張ってきた人たちとは言え、やはり中学と高校では体つきから経験まで全てが異なる。それに2年の人たちは皆上手かった。猛者達が集まる東京で決勝リーグまで行けるほどの実力は確かにあった。
「落ち着いてください」
茉実「あははっ!さすが黒子君!膝カックンって!」
藍「茉実笑いすぎだよ。それにしても、さすが黒子君だね、朱音」
あたしは藍に微笑むと、コートの中に視線を戻した。それからは早かった。テツ君の綺麗なパスが次々と通り、1年チームがぐんぐんと追いついてきた。そして残る点差は1点。けど時間がない。スティールを成功させたテツ君がそのままドライブで切り込み、自らゴールを狙うテツ君。
雅「って黒子君がゴール狙うの!?」
捺美「黒子君、レイアップ苦手だよね」
『…大丈夫だよ、だって』
テツ君はあたしたちの予想通りレイアップをフリーの状態で外した。けどそのボールは、床に落ちることは無く、リングを潜った。
「だから弱ぇ奴はムカつくんだよ。ちゃんと決めろタコ!」
『火神君(光)がいるから』
あたしと火神君の言葉が重なった。火神君によって得点が追加され、結果は1年チームが勝った。テツ君は無表情で分かりにくいけど、確かに嬉しそうだった。