第10章 入学式、そして始動…!
翌日。あたしが学校に着くともうほとんどの生徒が来ていた。二日目と言うこともあり、ちらほらと仲良く楽しそうに話す集団が目に入る。あたしは入口付近にいる女の子の集団におはよう、と声をかけて自席に向かって歩く。そして視線の先には本を読んでいるテツ君がいた。
花帆「朱音ー!おっはよー!」
『わ!花帆!びっくりしたー、おはよう』
宗助「お前ら本当に仲良いな。いや、相原が若槻にくっついてるのか」
花帆「なーに?石黒君。仲間に入りたいの?」
花帆はあたしにギュッと抱き着いてくる。あたしより少し小さい花帆のふわふわの髪が首に当たってくすぐったい。すり寄ってくる花帆を少し押しのけ、テツ君の前に行く。
『おはよう、テツ君』
「おはようございます、朱音さん」
花帆「えー?何?二人は知り合いだったの?って…誰だっけ?」
宗助「俺に聞くなよ!知るわけねぇだろ!」
生徒「なになにー?どうしたのー?」
生徒「混ぜて混ぜてー」
いつの間にか巨大な集団となってしまったあたしたち。ていうかクラスのほぼ全員がいる気がするんだけど…
『あー…テツ君とは小学校が一緒で、中学でも大会とかでちょくちょく会ってたんだ』
「中学って…キセキの世代か!?」
後ろの方で大きい声がしたと思ったら、あたしの後ろの席の男の子(名前忘れちゃった☆)が立っていた。名前を思い出そうと頭を捻っていたら、どこからか火神という単語が聞こえてきて、そう言えば火神君ってあたしの次に自己紹介していたような…と思い、この大きい男の子が火神君なんだなと認識した。
『そう言えばバスケ好きって言ってたよね。知ってるんだ、彼らのこと』
「昨日初めて聞いたけどな。で、そいつらは強いのか?」
バスケのことをあまり知らない周りのクラスメイトは、ポカンとした表情であたしたちを見ていた。対する火神君は獲物を狩るような眼であたしを見てくる。助けを求めてテツ君をみるけど、そこにはもうテツ君の姿は見えなかった。…逃げたな、テツ君。