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It’s a miracle!!!

第10章 入学式、そして始動…!


放課後、僕は帝光時代に通っていたマジバではなく、誠凛高校に近い別のマジバに来ていた。お気に入りのバニラシェイクを頼み、窓際にある席に座る。僕の頭の中は、二人の人物のことでいっぱいだった。火神君と朱音さん。朱音さんにはこういう形で会うとは思っていなかったので、今までメールや電話も出なかったのに。そして火神君は…僕の前に座った。どうやら僕がここにいることに気付いていないらしい。

「ぐおっっ!?」

「どうも。…育ち盛りですね」

「どっから!つか何やってんだよ!」

「いや、僕が先に座ってたんですけど。人間観察してました」

僕に気が付いた火神君の持っていたトレーには、マジバーガーの山が出来ていた。それ全部1人で食べるつもりですか、と聞こうとしたけどやめた。彼の胃袋にあっという間に収まったから。

それから今、僕たちはとあるバスケットコートに来ていた。火神君は言った。日本のバスケのレベルが低すぎだと。確かに本場のアメリカに比べると日本のバスケはお遊びのように見えるかもしれない。…彼らを除けば。

「…けどさっき良いこと聞いたぜ。同学年にキセキの世代って強ぇ奴らがいるらしーな。お前はそのチームにいたんだろ?俺もある程度は相手の強さは分かる。ヤル奴ってのは独特の匂いがすんだよ。…が、お前はおかしい。弱けりゃ弱いなりの匂いがするはずなのに、お前は何も匂わねー。強さが無臭なんだ。確かめさせてくれよ。お前が…キセキの世代ってのがどんだけのモンか」

「…奇遇ですね。僕も君とやりたいと思ってたんです、1on1」

僕が帝光中にいるころから思っていた野望。火神君となら叶えられるかもしれないと。もちろん敵うはずもなく、圧倒的に負けた。でもこれなら…

「ふざけんなよテメェ!話聞いてたか!?どう自分を過大評価したら俺に勝てると思ったんだオイ!」

「まさか。火神君の方が強いに決まってるじゃないですか。やる前から分かってます」

「喧嘩売ってんのかオイ…?」

火神君は青筋を立てながらも、最後には溜息をついていた。そして僕に、バスケをやめた方がいいとまで言った。火神君が言う才能の有無については、帝光中時代に嫌というほど味わった。キセキの世代の皆の才能が開花してから、僕のバスケは必要とされなくなった。それでもバスケを嫌いになれなかった。

「僕は君とは違う。僕は…影だ」
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