第10章 入学式、そして始動…!
驚いた。入学式の新入生代表の名前を入学式のパンフレットで確認した時から、もしかしてとは思っていたけど。僕が見た若槻朱音という名前は、やはり僕が知っている若槻朱音さんだった。昔と変わらない凛とした表情に透き通るような声。憧れて、好きへと変化した。僕が誠凛に行くことはキセキの皆にしか言ってないし、口止めもしておいた。いつだったか黄瀬君が言っていた。彼女自身、自分の高校は伝えてないし皆のも聞いていないと。単なる偶然にすぎないけど、また繋がれたことに喜びを感じていた。
朱音さんはやはりクラスでも瞬く間に人気者になった。彼女の容姿はもちろん、人を引き込む空気というか、オーラと言うか…とにかくそんな雰囲気を持っている。その彼女が自己紹介で僕に反応を示した。彼女と全く正反対の僕に。いろいろ謝りたかったけど、今捕まってしまうと謝ることも困難な気がして、僕は朱音さんが僕を呼ぶ声も無視して帰った。
そしてそのまま体育館へ向かう。体育館に着くと、何人か見えた。今まで帝光という大集団の中でバスケをしていた僕は、あまりの少なさに多少なりとも驚いた。
2年の先輩で監督の相田リコさんからシャツを脱ぐように言われたから脱いで待っていた。どうやら監督の眼には筋肉のステータス等が映っているらしい。僕はどうだろうか。淡い期待を持ちながらも順番を待つ。…やっぱり気付いてもらえなかった。もう慣れましたけど。
監督はある男子生徒の前で立ったまま動かない。その男子生徒は、さっきまで自分と同じクラスにいて、目の前に座っていた火神君だった。
リコ「黒子君てこの中にいる?…今日は休みみたいね。いーよ、じゃあ練習始めようか」
「あの…すみません。黒子は僕です」
リコ「…きゃああああっ!?」
日向「うわぁ何?…うぉっ!?」
伊月「いつからいたの!?」
「最初からいました」
バスケ部という集団から離れて約半年。この感じも久しぶりでした。