第10章 入学式、そして始動…!
花帆「朱音?大丈夫?」
『あー、ごめん。うるさかったよね…』
宗助「いや、俺らはいいけどよ…何?若槻、何か部活立ち上げるのか?」
彼の名前は石黒宗助君。あたしの右隣りの席の男の子。あ、あたしの席は窓際の前から4番目というなかなか良い席だった。後ろの席の子はまだ来てないみたいだけど…どんな子なのかな。ちなみに前は木野目千絢(きのめ ちひろ)。真面目そうな子だ。
『あ、うん。女子バスケ部をね。そうだ!みんな、入部希望者募集中だよ!友達とか誘って見学に来てね~!と言ってもまだ出来たわけじゃないけど…』
宗助「どっち!?っつっても俺は行けねーからツッコんだ意味ねーじゃん!っは!…変装して行くか。若槻、制服貸して!」
石黒君の言葉にあたしたちの集団に笑いが起きる。石黒君はムードメーカーだな。ていうか貸さないよ。せっかくの新しい制服破れるじゃん。石黒君は中学までサッカーをやっていたらしく、素晴らしくガタイがいい。高校では続けるか迷っているみたいだけど。
花帆「だめ!朱音の制服は私が着るんだから!」
宗助「それ意味なくね!?」
あたしの制服をがっちり握って離そうとしない花帆。ていうか制服皺くちゃになっちゃうよ。まだ1日目なのに。だけどこの感じは鈴城中時代に似てるな。楽しくなりそうだと思った時、授業の始まりを告げるチャイムと共に先生が教室に入ってきた。
先生「あー、入学早々仲良くなるのは良いことだけどな、一旦席に着けよー。はい日直…はまだいねぇから、今日は新入生代表の若槻にやってもらおうか」
『はい!?…まあ今日だけならいいですよ』
ブーブーと文句を言うと、皆から頑張れとの励ましが聞こえた。隣の石黒君は笑ってるけど。とりあえず号令をかけ、先生によるHRが始まった。
先生「とりあえず今日はオリエンテーションだけだからなぁ…自己紹介だけしといて、委員とか係とかは明日決めるか。じゃあ一番右の列からなー」
先生の気怠そうな声に従って、右の列の子から自己紹介をし始めた。